ファンキー末吉楽曲配信サイト

2013/05/24

税関で捕まった(>_<)

先日の北京ライブのことを書きたいのだが、
残念ながらこんなおもろいネタが飛び込んで来たのでこれからUPさせて頂きます(笑)


そもそもがどうしてワシが身銭の中国元を払って中国でこの小畑秀光のグッズを制作せねばならないのか・・・

「幸せの壷」なるものを売り歩く輩がいると聞くが、
この無名のギタリストはそれと同様の才能があるらしく、
可哀想なのもあり、何やら本当に幸せになれるような気がしたりするから、
ついついとよけいなおせっかいを焼いてまたこちらまで貧乏になってしまうのだ・・・

ワシはもともとは音楽の仕事などなくなってしまったに等しい日本の音楽業界ではなく、バブル真っ盛りの中国での仕事で人民元を稼いでいるのだから、
当然ながら人民元がダブついて来る。

高い手数料など払って両替などしてはいられない。

中国で必要な経費、
例えばFunkyスタジオ北京は持ち家ではなく借りているのでその家賃やら、
アホではあるが今ではなくてはならない大切なスタッフになってしまった方言(FangYan)などを住まわせてスタジオ自体を維持しているわけなのだからその結構な維持費などは全て中国の仕事で賄っている。

日本は日本でセッションなどして、また忘れた頃に入って来る印税などで嫁子供が暮らしている。

両方面の収入はまあ低空飛行ながら順調で、
幸いながらここ数年、日本円から両替だの中国元から両替だのしなくてはならなくなったことはなかったのだが、
ここに来てこの小畑秀光のせいで久しぶりに日本円から中国元に両替した。

何せこんなアホなグッズを思い付いては山ほど作るのだからその支払いで人民元が底をついてしまったのだ(涙)


今回は更に小さな旗とステッカーを作ったので、
前回持って来れなかった半分のTシャツと合わせるとまたとんでもない量である。

今回の滞在は3日間だったが、
こんなことも想定してちゃんと大きなトランクを持って来ている。

前回はトランクに入り切らず、
ズタ袋にまでTシャツを入れて持って帰って来たので、
今回はそれも想定して機内持ち込み出来る小さなトランクまで持って来ている。

しかし、グッズを詰めながらふとイヤな予感がして、
その更に半分のTシャツをたまたま上海から来ていたLive Bar X.Y.Z.→AのオーナーKさんに託してしたのがよかった。

何と今回初めて日本の税関で止められたのである。


「3日間でこの荷物は多過ぎですねぇ・・・中を見せてもらえますか?」

若い税関職員がこう言った。
開けたら中身はこれである・・・

ObataGoodsInZeikan.JPG

(涙)!!!!

税関職員の呆れたような情けないような、そんな表情が忘れられない・・・

絞り出すように彼は言った。
「これは・・・何ですか?・・・」

ワシは二日酔いの頭をフル回転させて考える・・・
まずは相手の質問に答えることである。

「ティ・・・Tシャツです・・・」

それは見ればわかる!!
税関職員が聞きたいのはそうではなくて、
こんなものをたくさん持ち込んでどうしようという気なのかということなのである。

「これは・・・中国で作ったんですか?」

ワシは二日酔いがいっぺんに冷めてしまって、
錆び付いた頭がオーバーヒートするまで考えた。

だいたい「大ウソ」というのはよっぽど悪人でない限りなかなかつくことは出来ない。
つけるとしたらせめてその中にいくらかでも本当のことを入れておかねば、
小市民ではなかなかそれを突き通すことが出来ないのだ。

「昨日ライブで売ろうと思って持って行ったんですけど・・・結局売れませんでしたねぇ・・・」
ちなみに昨日ライブがあったということは本当で、あとはウソである。

「売れませんでしたねぇ」の部分に大きく頷いて税関職員は真顔でこう聞き返す。
「これは日本で作って持って行ったんですか?」

そもそもワシはそこまで大ウソをつけないからこそこのような回りくどい言い方をしたのだ。
それを税関職員は真っ正面から突いて来るんだから真っ正面からウソをつくしかない。

「はい、日本で作って持って行きました」

この時点でワシの心臓はもうばっくんばっくんである。
ひとつのウソが次のウソを生む。
こうやって世の中ではいくつも
「小さな犯罪を犯した小市民が大犯罪者になってしまう転落劇」
が起こってしまうのだろう・・・

「ちょっと開けさせてもらっていいですか?」
税関職員は手慣れた手つきでTシャツの袋を開けて中身を広げる。

タグを広げてそこに書かれている「Made in CHINA」という文字を、
わざわざワシに見せつけるようにしながらこう言った。

「これは中国で作られたものですよね」

犯罪者の心理というのはおおよそこのようなものであろう・・・
ウソをつくならとことんつき通さなければならないのだ。
そのウソが本当になるまでつき通さなければならないのだ。

「いや、これはバンドのメンバーが日本で作ったもので、
それを私が北京でライブがあるんで売って来ようと持って行ったんです」

頭の中ではこの小畑秀光という無名のギタリストと一緒にバンドをやってる姿を一生懸命シミュレーションする。

「バンドのメンバー・・・ですか?」
税関職員が理解に苦しむような顔をするのですかさず胸を張ってこう言う。

「この太陽の顔の本人です!!彼と一緒にバンドをやっていて、
このTシャツは彼が作ったグッズなんです!!」

ここでもかなりの割合でウソを散りばめているのであるが、
頭の中ではそれを「本当だ」というまで信じ込まなければならない。

「でもこれはMade in Chinaじゃないですか!!」
税関職員は冷静にそのように言い放つ。

「さ、さぁ・・・日本で発注した業者が実は中国で製作してたんじゃないでしょうか・・・」
そのような事態が可能性としては起こり得るという自信と共になるだけ胸を張ってそう言い張る。

「つまり、中国で作ったものが日本に入って来て、
それをまた中国に持って行って、またそれを持って帰って来たということですか?」

税関職員が分かり易くそれを言い直すが、
ワシはそれを一生懸命シミュレーションしてそのように心から思い込むしかない。

「その通りです!!」

何やらそのような気がして来た。
このTシャツは全て自分と一緒にバンドをやっている小畑秀光という人間が、
ワシの知らないところで作って、それがたまたまMade in Chinaであっただけなのだ!!

しかしいくらシミュレーションだとは言え、
あんな男と一緒にバンドをやっている50男が、
こんなわけのわからないモノを日本で作って、
それを山ほどトランクに入れて中国に行ってライブをやり、
それを一生懸命売ろうとして結局売れず、
そのままトランクに詰めて帰国している図は悲し過ぎるぞ・・・


今にして思えば「宗教」にしてやればよかったのだ!!

「太陽神」を崇める「MAX教」かなんかで、
「これを崇めればあなたもきっと幸せになります!!」
とでも言って一生懸命お祈りでもしてやればよかったのだ・・・


「とりあえず別室へ!!」

税関職員が荷物と共にワシを別室に連れてゆく・・・
まるで取調室に連行される犯罪者のような気分である・・・

別室と言っても普通の税関のカウンターと全く同じで、
ただそれが小屋のようになっていて外から見えないようにされてあるだけである。

「全部開けさせてもらっていいですか?」

ワシはうなずいて全ての荷物、バックパックからポシェッットまで全てをそのカウンターに並べる。

小さなトランクにはワシの着替え、
バックパックにはパソコン類、
ポシェットにはWi-Fiやディバイス系、
・・・とまずは大旨確認した後、
税関職員はまずは問題の一番大きなトランクの荷物を全部取り出す。

37枚のTシャツを取り出した後に現れるのは旗である。

ObataGoodsHata.JPG

「こ、これは何ですか?・・・」

またもや税関職員の呆れたような情けないような、そんな表情が忘れられない・・・
ワシは何もウソをつく必要がないので胸を張ってこう答える。

「旗です!!!」

それは見ればわかる!!
税関職員が聞きたいのはそうではなくて、
こんなものをたくさん持ち込んでどうしようという気なのかということなのである。

売り物ですと言うとまためんどくさそうなのでこう言った。

「これはステージ上に並べるんです!!
毎回ライブではステージ上が旗ばかりになります!!」

ワシはその様子を頭に浮かべてシミュレーションの中に組み込みながら、
だんだんと情けない気分になって来るのを隠せない・・・

「これも日本から持ち込んだんですか?」
税関職員はそのように聞くが、
小市民のワシはもうこれ以上ウソを積み重ねてゆくことに精神がついてゆけなくて折れてしまう。

「これは・・・向こうのバンド仲間が作ってくれたんですけど・・・
ライブで売ってみたら・・・やっぱ売れないですよねぇ・・・」

税関職員はその「売れないですよねぇ・・・」というところで大きくうなずいてまた仕事を続ける。


「これは何ですか?」
次に取り出したのはステッカー。

ObataGoodsTieHua.JPG

また「中国の仕事」であるからして、
切れ目を入れてるのが図柄の位置より中になっているところが情けない。

頭をかしげている税関職員に捲し立てる。

「これも向こうのバンド仲間が作ってくれたんですけど・・・
こんな作りじゃぁ・・・やっぱ売れませんよねぇ・・・」

また「売れませんよねぇ・・・」というところで大きくうなずくものの、
もともと税関職員が頭をかしげるのが、
「何故にこのような売れないものばかりをこんなに多量に日本に持ち込もうとするのか」
という「作り手の頭の中」が不思議でならないのだ・・・


次に取り出したのはアホのアシスタント方言(FangYan)がキム姐さんに頼まれて買った中国のタバコ・・・

こればっかりは税関職員は鬼の首を取ったようにこう言った。
「これは持ち込み制限数を越えてますよねぇ・・・」

二日酔いだったので何カートンあるかも考えずにそのままトランクに放り込んでいたのだ。

「あ、友人に頼まれたのですが、
すみません、自分はタバコを吸わないのでうっかりしてました」

これは素直に罪を認めるしかない。
本当に自分はタバコを吸わないのでうっかりしていたのだ。

「ご自分で買われたのですか?」

ここでハッとして気付く、
知らない人から荷物を頼まれて、
そこに麻薬なんかが入ってたりして知らぬ間に「運び屋」にされてる事件が多いと聞くではないか。

まあ相手が方言(FangYan)なのだから実際にはその恐れはないのだが、
問題はそう思われたら取り調べがもっと大変になるということである。

「私が買いました」

これは100%ウソなのだがそう答えるしかない。
ヘタしたらそのタバコを全部開けられて一本一本全部調べられる羽目になってしまうだろう・・・

「ウソをつく」ということは大変なことである。
ひとつウソをつけば、それを本当にするためにもっとたくさんのウソをつかなければならないのだ。


税関職員は更に荷物を調べる。
文字通り「隅から隅まで」である。

そして税関職員はトランクのサイドポケットに入れている雑誌の切り抜きを見つけた。
ワシが北朝鮮に行って少女たちにロックを教えている記事である。

それを取り出して今度はもっと真顔でこう聞いた。

「今回行って来たのは本当に中国だけですか?」

いや〜前々回北朝鮮から帰った時に同じことを聞かれて、
全ての北朝鮮での購入物を没収されたことを思い出す。

犯罪者の心理というものは大旨こんなもんであろう。
こうやって次から次へと過去の犯罪が連鎖的に暴露されてゆくのだ・・・

一瞬目の前が真っ暗になったが、ワシの頭は二日酔いながら更にフル回転して、
このような言葉を税関職員に浴びせかけた。

「お兄さん、今回北朝鮮行ってそれが今こうして記事になってるわけないでしょ!!」

それもそうだ・・・と税関職員はその記事をしまった。
そもそもこの変な男が北朝鮮まで行ってそれでこんなわけのわからないものを持ち込んで来ているとしたら更にもっとわけのわからないことになってしまうのだ(笑)

実は税関職員が探していたのはそんなものではない。
伝票・・・だったのだ。

中国でモノを作って日本に密輸入している「業者」は、
必ずそれを証明する伝票のようなものを持っている。

それが「商売」なのだから必ずそれに関するものを持っている。

しかしワシの荷物にそれらしきものは一切ない。
そりゃそうだ、ワシは中国のロック仲間にグッズ製作を頼んで、
出来上がったら現金でそいつに金を払い、
領収書だの伝票だのそんなものは一切持ち合わせてないのだ。


そしてトランクの中から税関職員が見つけたのは、
無造作に放り込まれているレポート用紙の束。

往々にしてこのように「伝票」は発見されるのだ。

税関職員はそれを開いて見たのだが、
更にわけがわからないような表情をしてこう聞いた。

「これは何ですか?・・・」

税関職員が首を傾げるのも仕方がない。
これは喜国雅彦先生が書いてくれた激鉄♪MAXの絵コンテだったのだ。

GekiMaxStoryboard1.jpgGekiMaxStoryboard2.jpg
GekiMaxStoryboard3.jpgGekiMaxStoryboard4.jpg
GekiMaxStoryboard5.jpgGekiMaxStoryboard6.jpg
GekiMaxStoryboard7.jpg

税関職員、もうますますわけがわからない。
この変なルックスの50男は一体何をやってる人間なのだ・・・

ワシは助け舟を出すつもりで優しくこう言った。
「いや、税金だったらいくらでも払いますから・・・」

以前タバコや酒を規定量以上持ち込んだ時にも、
ちゃんと申請して税金を払えば何も問題はなかったではないか。

要は税金さえ支払えばそれでいいのである。


税関職員の仕事はもう大詰めとなり、
あとは税金の額を決めて支払ってもらうだけである。

しかしタバコは別として、
この怪しげなグッズが一体いくらの値打ちがあるかが皆目わからない。

伝票さえあれば細かい金額が出るのだが、
それがないのだからだいたいでここで決めてしまうしかない。

「Tシャツ1枚いくらぐらいで作りましたか?」

そもそもワシはまとめて金をどんと払うだけなので1枚いくらまではとっさに出て来ない。
「うちのボーカルが作ったんでそこまではわかりませんが・・・
まあだいたい500円ぐらいじゃないですか・・・」

税関職員はTシャツを500円として計上、
問題は山ほどの「旗」である。

「この旗はいくらで?・・・」

と言いかけて税関職員はあきらめた。
きっと「こんなものいくらも値打ちがないだろう」と踏んだのだ。

「旗と・・・このステッカーは・・・いいです」

かくしてTシャツとタバコの持ち込み税金ぶん、合わせて1万円ほど支払って無事に取り調べ終了!!!

ワシは最後に税関職員に聞いた。
「麻薬とか摘発したこともあるんですか?」

税関職員は言った。
「ここではしょっちゅうですよ」

日本国家のために税関職員はこうして一生懸命仕事をしている!!
彼らの仕事に敬意を表するぞ!!

そんな皆様のお手を煩わせてどうもすみませんでした!!


というわけで噂の太陽神グッズ

 ■TシャツS、M、L、XL、3,000円(現在は黒のみです)

 ■ハチマキ白、黒 各1,000円

 ■旗 大2000円 ← 一番偉い、中、小 ← 安い 発売未定

お問い合わせ、ご注文はコチラから↓
 >>> http://hidemitsu.jp/mail.html

同じカテゴリの記事