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2011/11/05

4度目の北朝鮮訪朝5日目

2011年11月2日(水)

今朝は相方がこちらのどっか工場とかを見学に行くというので謹んでご遠慮させて頂いてホテルでアレンジ等を考えることにした。

ワシは別に勝手にホテルから出て街を出歩いたり、
ガイド(兼監視員?)に迷惑をかけるつもりはさらさらないのだが、
ご本人達としては万が一何か問題が起こったとしたら自分の身も危なくなるということで、
結局パクさんは相方についてゆき、
ヘギョンちゃんはホテルに残ることとなった。

「じゃあどっかふたりでデートでもしますか?」
と言いつつ、
結局ホテルの喫茶店で一緒にフルーツパフェを食おうということになった。

PyongYang2011Pafe.JPG

昨日6月9日高等中学校のみんなから出て来たメロディーは、
BメロでトップがDという高いところまでいくのに、
サビは低いGから始まるのでつながらないと彼女達が悩んでいたので、
「それはいろんなテクニックがあるから明日ね」
と言って据え置きにして来たということから、
ヘギョンちゃんには是非とも「キー」や「転調」といった音楽用語も覚えて欲しい。

中学校の音楽教室よろしく「ハ長調」だの「変ロ長調」だの音楽理論を調号と共に紙に書き、
今回覚えたとしても後に一生使うこともないであろう単語をいくつも覚えてもらった。

ガイド(兼監視員?)の仕事も大変である。
ワシらといると関西弁の下ネタは覚えさせられるわ、
しょーもないアホネタばっかり聞かされては、
勉強熱心な彼女達はご丁寧に全部それをノートに書き留めている(笑)

でも以前ワシらが出会ったうさんくさい連中や、
隙あらば隠し撮りをしようとする評論家やジャーナリストよりはマシである。
彼らはこの人達のことを「監視員」だとしか思ってないし、
だからこの人達は「お客さんは敵だ」と思って仕事をして来た。

だから一緒に食事をしても「笑顔」など出て来るわけがない。
数日間ずーっと一緒に時を過ごして、
帰る時にはお互いに、
「あーミッションが終わった」
と安堵するだけの関係である。

そんな連中が口を揃えて
「北朝鮮で見たことは全部作られてことです。信用してはいけません」
みたいな発言を繰り返す。

アホか!!ガイドの気持ちも掴めない人間に、
こちらの人民の本当の顔なんか見えるわけがないだろが!!!!

まあヘギョンちゃんもその前任者のキムさんもみんないい人だったので一緒にいろんな話をした。

情報から隔離されて暮らしている彼らは往々にして日朝関係や国際情勢のことを聞きたがるが、
残念ながらワシは政治問題はさっぱりなので全然お役に立てなかったが、
それでも気がついたら2時間近く一緒におしゃべりしてた。

いつかは彼女が自由に日本に来れるようになって、
いろんな疑問を自分の目で確認出来るような時代が来て欲しいものである。


さて、昼飯は平壌冷麺!!

日本で食す韓国系の冷麺と違って、
こちらの冷麺は酢とマスタードで味付けをするタイプである。
北京では北朝鮮直営のレストランがあるので食することが出来るが、
日本にはもちろんそんなものはないだろうからここぞとばかり食い過ぎてしまう。

PyongYang2011Reimen.JPG

だいたい冷麺の前にこれだけの更に盛られた料理が出て来るんだから食い切れるわけがない!!
日本に帰って更にデブになってたとしたら全て冷麺のせいである。


満腹のまま学校にやって来た。

生徒達がいつものように出迎えてくれて腕を組んでクラブまで案内してくれるのだが、
ワシのお相手はワシらが「一平」と呼んでいる少年ドラマー。
クラブの中では一番年下で、
いつもにこにこしていて憎めない可愛いやつである。

女の子達はお客さんに対して腕を組むのだが、
どうも男の子は手を握るようである。
逆に照れくさいものがあるがしっかと握らせて頂いた。

PyongYang2011WithIppei.JPG

部員達みんなをキーボードのところに集めて、
「君たちのメロディーを形にするには大きくわけて3つの方法がある」
というところから説明した。

予習しているヘギョンちゃんが適切に通訳する。

1、同じコード進行でサビのメロディーをBメロより高いメロに変える。
2、Bメロの最後の高い部分のメロディーをちょっと低いメロディーに変える。
3、サビを転調してキーを上げる。

いろんなパターンを実際に音を出して聞かせてあげるのだが、
びっくりしたのが彼女達、
特にひときわ美少女である「部長」の反応である。

「これ!!これがいい!!!」

間髪置かずにすぐに反応を返す。
少なくとも彼女達の先輩達はいつも自分の意見を述べるのにほんの少しの躊躇があったが彼女達にはそれがない。

全てにおいて積極的、物怖じしない、
3年間来なかっただけで北朝鮮の少女達はこんな「新人類」の時代になってしまっているのだ。

メロディーが決まったのでコード付けをする。
これも彼女達の好きなものを引き出してゆきたいので、
この音符に当てられるコードの選択肢を全部弾いてあげて本人達に選んでもらう。

「これ!!これがいい!!!」
いいと思ったら間髪入れずに反応が来る。

しかも「部長」が好んで選ぶコードは、
北朝鮮だと通常DmとかFとかを当てる部分に「Bb」、
つまりロックコードである。

恐らく北朝鮮には今までなかったコード付けである。
少なくともワシが先日カラオケで聞いた朝鮮曲の中にはその片鱗すらない。

新しいものが好きなのだ・・・

転調も含め、全体を通してみたら、
結局コードは「Bb」ばかりになってしまったので、
「部長~!!AメロかBメロかどっちかDmに戻した方がいいんじゃない?!!」
と言うと、
「わかりました」という感じでコード付けが終わり、
「ではバンドみんなで一緒にやってみましょう」
となって最初から通すのだが、
何度やっても同じ所で音が濁って聞こえる。

よくよく聞いてみると「部長」だけがその部分をかたくなに「Bb」を弾いているのだ。

「こっちの方が好きなの?」
そう聞くとまた間髪入れずに
「うん、こっちがいい!!」
と答える。

人の言うなりにならないのだ・・・

結局メロディーは純朝鮮ポップス、
アレンジはかなりロック寄り、
という、それでいてちぐはくではない
(そりゃそうだ、全部彼女達の中から出て来たものなのだ)
不思議な音楽が出来上がった。

北朝鮮の新世代・・・もの凄いかも知れんぞ・・・
この子達がこのまま大きくなったらこの国は一体どのように変わってゆくのだろう・・・
楽しみである。

PyongYang2011HebiShochu.jpg

今日のお酒:蛇の焼酎!!
(買って帰ってに置いとくんでみんなで飲もう!!)


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