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2016年06月20日(月)
中国共産党の歌?・・・

LuanShuからの仕事で「国際歌(インターナショナル)」という曲のアレンジを頼まれた。

もちろんこの曲は中国ロックの大御所「唐朝(Tang Dinasitey)」が演奏してアルバムにも入ってたのでよく知っているし、「中国ロック30年の歴史コンサート」でも自分自身演奏したことも記憶に新しい。

でも調べてみるとこれって中国共産党の曲だと思ってたら、
「インターナショナル」というぐらいでパリで生まれた共産思想を讃える国際的な歌なのな!(◎_◎;)

こちら(Wikipedia)

日本語バージョンもあったのな!(◎_◎;)

歌声喫茶で歌われていた?!(◎_◎;)

いや〜誤解のないように最初に言っておくが、
ワシは別に共産主義者でもないし、
このブログで共産思想を讃えたいわけでも何でもない。

ただこの国では中国共産党とのつながりを一切断ち切って生きてゆくことは不可能なのでこのような話になるだけで、世が世ならワシ自身も特高か何かにしょっ引かれかねないようなことを書いているわけで・・・(笑)

実際、もうだいぶボケてワシとあまり話も出来なくなったうちのおふくろの年ぐらいになると、
「アカ」だとかいう今や死語となった言葉が差別用語として平気で使われたりしてたし、
それが部落差別や朝鮮差別とごっちゃになってわけのわからん貶し言葉になって息子に話してたり・・・(笑)

今になって思ってみると、
ここ中国ではそれが日本と比べたらもっと違った「ねじれ方」をしてたわけで、
この「唐朝(Tang Dinasitey)」のドキュメント映像なんかを見ると色んなことを考えさせられたりする・・・


(個人的には旧友のひとりであるベースの張炬が生きてて動いているなんて久しぶりに見たのでうるうる・・・涙)

歌詞を見ると
「飢餓に苦しんだ人民たちよ一緒に立ち上がって革命を起こそう」
みたいな感じだが、
もちろんのことこのバンドのメンバーはもう飢餓に苦しんだ時代の人間ではない。

ただ、この国ではこの時代、この共産党の曲を「ロック」にして歌うことには大きな意味があった。

まず「共産党の歌を歌う」ということで、明らかに「共産党と敵対してない」ということがアピール出来るわけで、こうして彼らのデビューアルバムにも収録されているわけだから「許可」という点では有利であるという「計算」はあったのかも知れない。

でも「仕方なくこれでも演奏しておくか」というのでも決してない。
それは今回のアレンジの仕事でのLuanShuのダメ出しの中のこんな言葉にも表されている。

「Funky、このアレンジの方向性は違うよ。
俺たちの世代の人間にとっては、この曲はもっと厳粛で荘厳なものなんだ」

唐朝(Tang Dinasitey)」の連中にしたって決してこの曲をバカにしたりしてたわけではなく、
きっと同様に厳粛で荘厳なものとして捉えていたのだろうと思う。

ところがそれを「ロック」で演奏する・・・それがまずひとつの大きな「ねじれ」である。

実のところ自分がこのイベントで演奏してみて、
この曲のワシの印象としては「なんて覚えにくいメロディーなんだ」と思った。

決してポップなメロディーでもないし、
途中でキーが転調しているのにベースがルートを弾いてなかったりするとトーナリティーがぐちゃぐちゃで、
歌い出しが同じなのに後半は違うメロディーなのでそれに合わせてコード進行も全くもってポップになりようがない・・・

しかし今回アレンジしてみて、
もう朝から晩までこのメロディーが頭にこびりついて離れないのだ・・・(>_<)

曲というものはそれ自体に「命」があり、
それを生み出した人、歌い継いだ人の思いが「魂」として乗り移るものなのかも知れない・・・

実際、世界じゅうで
「いつか素晴らしい未来が来る」
と信じて共産革命に身を投じ、
その夢をこの曲に託して歌いながら弾圧と戦い、
そして命を落としていった人たちがたくさんいたのだろう・・・

あいにく未来はその人たちの想像したような世界ではなかった。
しかしその「気持ち」は時代がどれだけ変わっても同じである。

唐朝(Tang Dinasitey)」がこの曲を歌いながら夢みた未来は決してそんな「赤い」世界なんかではない。

「いつか俺たちが自由にロックをやれる時代が来る!!」
そんな未来だったのではないのか・・・

今ではこの国でも当たり前に自由にロックが出来る。
でもあの時代にそんな「未来」なんてそれこそ・・・

世界じゅうの労働者が団結して世界じゅうの飢えた人々を解放して、
誰からも搾取されることのない平等で明るい未来

と同じぐらいの難しい・・・それこそ「荘厳な」夢だったのではないのか・・・

この曲を聞いて感動している娘たち(今はもういいおばちゃんだろうが笑)とて、
これを聞いて決してそんな世界を想像してるわけではない。

「何よこれ・・・かっこいい・・・こんな音楽初めて聞いた・・・(呆然)」

若者たちだって、
「スゲー!!ロックだぜ!!牛逼(NiuBi:ファッキングレートの意)!!」

拳を挙げるのだって決して中国共産党に対して挙げてるのではない。
見たこともない素晴らしい世界・・・
「ロック」という世界に対して挙げているだけなのである。

そこがもう完全にねじれ切っているのだ・・・


さて長い長い前置き(笑)は置いといて、
そんな曲のアレンジを発注された日本人・・・(笑)

ワシとて国際歌は「唐朝(Tang Dinasitey)」のバージョンしか聞いたことがない日本人というだけで相当ねじれている・・・

まず感覚をニュートラルにするためにねじれを解くべくオリジナルバージョンを聞いてみる・・・

いや〜何層にもねじれているものを全部解くと・・・笑えるな・・・(笑)
まあ笑を押し堪えて心をニュートラルにしてアレンジに臨む・・・

オーケストラのアレンジはバンドアレンジの数倍大変なので、
打ち込み機材をフル動員して何とかストリングスオーケストラだけで第一部を構成・・・
(これだけでほぼ一晩の重労働・・・)

ちなみにこの部分は女性歌手がフランス語で粛々と歌うんだと・・・
(オリジナルはフランス語やしね)

そして転調して一気にロックに!!

この部分は男性歌手が歌い、
それからが難しいのが90人の共産党員が入党宣言をするのでそれをバックでオーケストラ使って盛り上げてくれ、と・・・

入党宣言?・・・ピンと来んなぁ・・・
と思ったらこんなんを渡された。

KyousantouNyutousengen.jpg

・・・いや、こんなん見たってピンと来んし・・・(笑)

とりあえず丸々24時間かかってDEMOを完成させてLuanShuに聞かせるが、
なんと数日後には共産党の偉い人に聞かせなきゃならないということで、
「このレベルのDEMOじゃダメなんだよね・・・」

まあどの国でも「クライアント」というものは音楽的「耳」を持ってない場合が多い。

例えばシンセでピロピロ鳴っている音源から
「これがあの歌手が歌っていると想像して下さい」
とか、打ち込みのオーケストラから
「これが本物になるんですよ」
と言ったって想像出来るわけがない。

もう「仕事」もこの辺のレベルになって来ると、

リズムセクションはもうDEMO段階から本物を録音!!
オーケストラは本物そっくりに打ち込み!!
出来れば本チャンと同じレベルの仮歌・・・

・・・というわけでワシひとりではもう手が回らなくなり助っ人を発注した。

実は前回の映画音楽の仕事で日本からアレンジャーを募集したら、
本当に才能あふれる日本人アレンジャーがいっぱい応募してくれた!(◎_◎;)

まあ事情が事情なので、返事が遅い人や、
「あれ?締め切りが言われなかったので来週やろうと思ってました」
という人とは縁がなかったが、
中でも堀田くんというアレンジャーはいっぱい仕事を手伝ってくれて、
自分が書いた弦のレコーディングに立ち会いたいと自腹で北京までやって来たりもした。

早速連絡を取ってまた「仕事」として発注する・・・

「まずワシの打ち込んだMIDIを送るんで、
それを本物そっくりな弦にして送り直して〜」

から始まって、

「ついでに全編木管も入れといて〜」
「ロックの部分のリズムも直しといて〜」
「つなぎの部分も一考しといて〜」

・・・ってほぼ丸投げやん!!(笑)

まあ説明するんが難しいな・・・
「共産党の曲やねん」
「・・・はぁ・・・」
「最初は女性歌手がフランス語、真ん中は男性歌手が中国語」
「・・・はぁ・・・」
「その後は90人の入党宣言」
「・・・何なんですか?それ?・・・」

「ワシもようわからん・・・(笑)」

まあね、ええのよ!!
とにかく老百姓(LaoBaiXing:庶民の意)」が聞いて感激して涙して、
最後に曲が終わったら全員スタンディングオベーションして
「共産党!!牛逼(NiuBi:ファッキングレートの意)!!」
になればそれでいいのよ!!

「・・・」
わからんか?・・・いや、わからんやろうなぁ・・・(笑)

けどこれが堀田くんの作ったオーケストラがかなりいい!!
そのままLuanShuに送って、LuanShuはLuanShuでそれに仮歌と入党宣言の朗読を録音して送りつけて来る・・・

ワシもう面倒くさいのでそれそのまま堀田くんに送ったりして、
とりあえず打ち込み段階のDEMOは完成!!

今日は朝からそれに生ドラムを入れ、
ベースを入れてギターを入れて・・・
堀田くんは堀田くんで並行して更にちゃんとしたデータとなったフルオーケストラを製作・・・
仮歌を入れて最終的に仮ミックスして共産党のお偉い方に聞かせて・・・

・・・まああとは知らん(笑)

ところがドラムを録れ終わって、
全体像聞いてみたらこれが結構いいのよな・・・

入党宣言の朗読部分は本当に感激して涙が出て来たし、
最後のかき回し叩き終わったら両手でロックピース挙げて叫んでもーたがな・・・

「共産党!!牛逼(NiuBi:ファッキングレートの意)!!」

音楽って偉大やな(笑)

まあ7月1日の式典ではこれが流されて老若男女の共産党員が聴き終わったら全員ロックピース挙げて「共産党!!牛逼(NiuBi:ファッキングレートの意)!!」・・・

せんやろ(笑)

現場で見たいなぁ・・・でもその日は浜松でライブやな・・・
映像が入手されたらUPします〜


カテゴリ:おもろい話(北京)
 
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