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2017年02月03日(金)
黄家駒が紡いだ命

長年一緒に仕事をして来たLaoLuanの息子がアイスホッケーをやっているらしく、
「日本で練習試合とか出来ないか」
と言われていたのだが、
何ぶんスポーツに関しては全く興味がないので
「日本にはアイスホッケーなんかやってる人いないよ」
とか答えてたような状況の中、
「灯台下暗し」で元ファンキーコーポレーションの西部(シーブー)がホッケーの本場カナダの旦那と国際結婚してたことを思い出し、結果彼女のアテンドにより「北京火龍(ファイアードラゴン)」というジュニアアイスホッケーチームの初来日となった。

初日は西東京のスケートリンクで東京のチームと試合
そして軽井沢にやって来て軽井沢選抜チームとの試合・・・なのだが昼間は彼らは練習をしているのでそのスキにワシはスノボ(笑)

そしてその夜みんなで飲んでた時の話である。

继续在房间喝酒!! - Spherical Image - RICOH THETA

このワシが「実は人見知り」などと言うとびっくりする人が多いが、
特に母国語ではない中国語で知らない人んところにひとりで放り込まれると緊張を通り越して「嫌悪感」みたいなレベルにまで来ることがある。

しかしこの日はLaoLuanが
「チームメンバーの父親たちが飲みながら俺を待ってるんだ」
と言うのを聞いて、何故だかつい
「じゃあ俺も行く」
と言ってついて行ってしまった・・・

アイスホッケーをやるような家庭のお父さんである。
音楽業界の人間はもちろんLaoLuanだけだろうし、全くの初対面ばかりだろうに何故「じゃあ俺も行く」などと言い出したのか自分でもわからない。

まあ中国は何事も「関係(GuanXi:コネの意)」から出来ているので、
実は間接的に知り合いだったりすることは多い。

向かいに座ってる人は実はワシが飛行機の中にパスポートを忘れてあわや強制送還になろうとしている時にLaoLuanから電話を受けて探し出してくれた人である。

その時のターミナルでの話を面白おかしく話してるうちに「中国語ハイ」になって自分で話が止まらなくなる(笑)

まあワシなんてもう30年近く中国語を話して暮らしているが、
そもそもが学校に通ったこともなければ全くの「独学」である。

試験を受けて、まあ一生使うことはないだろうなぁという単語も一度は全部覚えたことがある人と違って、ワシなんかボキャブラリーは音楽用語と下ネタしかないのであるから(笑)、知らない単語ばかりを羅列する政府のお偉いさんなんかとメシを食う時の辛さに比べたら、こうして自分で勝手に喋り捲る方が数段楽しい・・・

まあ酒飲んで盛り上がるネタはだいたい決まっていて、

世界上最幸福的生活是(世界で一番幸せな生活は),
1,住在美国的房间(アメリカの部屋に住んで)
2,吃中国菜(中華料理を食べて)
3,有日本的老婆(日本人の嫁がいる)

最不幸福的生活是(一番不幸せな生活は),
1,住在日本的房间(日本の部屋に住んで)
2,吃美国的菜(アメリカのメシを食って)
3,有中国的老婆(中国人の嫁がいる)

まあ「鉄板ネタ」であるが、ここから
「私なんて昔は日本の部屋に住んで中国の嫁もらってたんですから最悪の3分の2は経験してますよ」
と始まって、

1,结婚是"判断力"不够(結婚は判断力の欠如)
2,离婚是"忍耐力"不够(離婚は忍耐力の欠如)
3,再婚是"记忆力"不够(再婚は記憶力の欠如)

とまた「鉄板ネタ」へと続く(笑)

まあいくらアイスホッケー関係だとはいえ、音楽好きは多いということでLaoLuanが許魏(XuWei)の話を振ってくれて
「彼の出世作のドラムは全部こいつが叩いてるんだよ」
などと言うと、
「あの曲のサビんところねぇ、"僕はもっともっと君の笑顔を見たい。僕はもっともっと君に言いたいんだ"の後に"LaLaLa"になって歌詞がないでしょ。あれがいいんだよね」
などと知ったようなことをほざいたりする(笑)

そんな中で今度はLaoLuanがBEYONDの話を振った。

もちろん中国人の音楽好きでBEYONDのことを知らない人はいない。
「そうそうボーカルの黄家駒は日本で死んだんだよね」
などと言われたりしたら、
「そうですよ、私の目の前で死んだんですよ」
と言うしかない・・・

なにせが書けるぐらいのエピソードがあるのだ。
話そうと思えば一晩中だって話し続けることが出来るが、
この楽しい酒の場をしんみりとさせてしまったって仕方がない、
LaoLuanと関係のあるひとつのエピソードだけをちらっとお話しした。

「もうね、西洋医学では全く手の施しようのない状態だったんだ。
そうなったら東洋医学にでも何にでも頼るしかない。
"安宮牛黄丸"という漢方薬が効くかも知れないということで、
LaoLuanの弟のLuanShuに国際電話をかけたんだよね・・・」

ところがその漢方薬には日本の医薬法に抵触する成分が含まれていて、
全世界の中華圏から集まったその薬は日本の税関で全部摘発されて没収された。

運良く没収されなかったものや、日本にいる中国人がたまたま持っていたものも、日本の医者が医薬法に抵触する薬を患者に投与するわけにはいかない。

全世界の中華圏の藁をも掴むような思いが届くことはなく、
そして黄家駒は・・・死んだ・・・

ワシが日本のマニュアル社会に対して時々ヒステリックに嫌悪感を露わにすることがあるのはこの時の思い出のせいかも知れないが、
怒鳴ったって喚いたって、泣いたって怒ったって死んだ人間は戻っては来ない。

「しゃーない」のだ。
黄家駒は死んで神様になる運命だったんだ・・・

そう思うしかないのだ・・・


ここまでは今回のブログ記事の長い長い前振りである。
LaoLuanがワシも初めて聞くこんなエピソードを語ってくれたのだ。

「その話には後日談があるんだよ・・・」

当時LuanShuがボーカルをつとめていた黒豹は、
まあ中国ロックの黎明期においてはそこそこ中国を代表するロックバンドという位置づけにはいたのであるが、
決して今ほど金持ちであるような状態ではない。

それこそなけなしの金を集めてこのとてつもなく高価なこの薬を買い集めて、
そしてそれを日本に送ることもなく黄家駒は死んだ・・・

「そのストーリーを知ってた人間がいたんだよ」
LaoLuanが話を続ける。

「その人が何の面識もないLuanShuの電話番号をつきとめて電話をかけて来たんだ・・・」

「藁をも掴む気持ち」というのはまさにこのことだ。

その人はお子さんが同じように頭をうって昏睡状態・・・
おそらく全ての西洋医学からも見捨てられたのだろう・・・

安宮牛黄丸というのが効くかも知れないという話だ・・・

しかし今の安宮牛黄丸というのは工場で作られていて、
昔ながらの手で作られているのでなければダメらしい・・・

そんなものは今の時代にはもう手に入りはしない。
「金ならいくらでも出す」
愛する子供のためだ、その人はそう思ったに違いないが、
しかし金をいくら積んだってその薬は今の時代には手に入らないのだ・・・

そんな時にこの黄家駒の話を聞いた。

「LuanShuとかいう人がひょっとしてまだその時の薬を持っていたら・・・」

藁をも掴む気持ちでその人はLuanShuの連絡先を探した。
友達の友達、伝手を辿りまくって、
いや、ひょっとしたら業者から高い金出して電話番号を買ったのかも知れない・・・

そしてついにその電話番号に電話をかけた。
知らない人からかかって来て気持ち悪がられて切られたりしたら、
その人はきっとどんなストーカーにでもなってLuanShuを探し出して、
土下座をしてでも頼み込むだろう。

「金ならいくらでも出す。その薬がまだ残ってたら売って下さい」

もちろんLuanShuにしてみたら金なんか要らない。
どこにしまったのかわからない20年近く前のその薬を部屋じゅうひっくり返して探しまくった。

当時買い集めたその薬は8個。
見つかったその8個の薬をその人に渡した。

当時でさえかなり高価な薬である。
今となってはもう天文学的な値段がつくであろうその薬だが、
もちろん金なんか要らない。

しかし残念ながら8個の薬のうち5個は保存状態が悪くて使い物にならなかった。
残るは3個。
効果があるかどうかはわからないが、藁をも掴むような気持ちで患者に投与した・・・

そしてそのお子さんは・・・

「奇跡」というのがあるとしたらまさにこのことである。
薬の投与がよかったのか何がよかったのか、
そのお子さんは治った!!・・・死なずにすんだのである!!

ワシはその話を聞いて呆然となった・・・
楽しい酒の席ではあったが涙が溢れて来た・・・

死んでしまって神となった昔の友が、
「へ、へ、へ」
と言いながら天界で頭をかいている姿が浮かんで来た。

「お前がやったんだな」
したり顔をした天界の黄家駒に向かってグラスを挙げて、残った酒をイッキに飲み干してやった。

今宵の酒はまた格別な味がした・・・


カテゴリ:おもろい話(日本)
 
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