
2016年6月 2日
中国で列車の切符を失くしたらこうなる・・・
Big John張嶺(Zhang Ling)の週末プチツアー、
北京を出発して湖南省長沙と浙江省杭州と回って北京に帰る行程なのだが、
近頃のバンドのツアーは列車移動が多い。
世界一音楽フェスティバルが多い(とワシは思っている)中国では、
最近のバンドメンバーやミュージシャン達はいろんなフェスを掛け持ちして、
ワシもそうだが当日入りや本番直前入りも珍しくない。
そんな中、北京空港は霧などの環境に影響されやすく、
飛行機が飛ばなかったり遅れたりすると終わってしまうので、
必然的に5時間かかろうが6時間かかろうが列車で移動することが多くなってしまうのだ。
朝の渋滞を考慮して3時間前に院子を出発して、
(ちなみに張張は2時間前で見事に乗り遅れ)
更に5時間かけて長沙に辿り着く。
まあ今では新幹線網が発達しててどこにでも(ウィグルとかチベット無理かも)その日のうちに着くのだから便利になったものだ・・・
チケット購入や支払いがネットで日本より数段便利に出来る中国では、
バンドのマネージャーがネットでチケットを購入して、
その情報をWeChatで送って来る。
まあ発券までやってチケットそのものを渡される時もあるけど、
そのためにはマネージャーが駅かどこか発券出来るところまで行ってその後に各メンバーと会うスケジュールが不可欠で、
仮に誰かひとりがみんなの分のチケットを持って駅集合にしたとしても、
まあどの国にもいるのだが張張(Zhang Zhang)みたいな遅刻する奴がいるとまためんどくさくなるので、
まあ今では大体このように情報だけが送られて来る場合が多い・・・
鉄道駅に着いたら駅に入るためにふたつの検問がある。
ひとつは爆発物検査、ひとつは「票,证,人,一致」つまりチケットに紐付けされた身分証明書と本人とが全て一致しなければ駅に入れないというわけである。
まあ飛行機と同じでパスポートを忘れたらもう駅にも入れないというわけである。
チケット忘れても同じ。
これから乗るチケットを持ってない人は駅にも入れない。
ワシの場合はまずチケットを発券するために並ぶことから始まる。
中国の第2世代身分証を持っている人は自動発券機で並ばずに発券出来るが、
外国人は身分証がパスポートなので必然的に長蛇の列を並ぶことになるのだ(>_<)
並んで順番が来たらパスポートと一緒にWeChatで送られたこの情報を見せる。
特に大切なのは上の方にある予約ナンバー。
端末でこの予約ナンバーを紹介して、
そこに打ち込まれている身分証番号(ワシの場合はパスポート番号)とを照合してチケットを発券する・・・
ということで3枚の切符がここでもらえるわけだが、
今から乗るチケットはポケットに、
そして残りの切符はパスポートと一緒に大事にしまっておく・・・
行きはそのままスムーズに長沙まで移動!!
ライブが終わり、杭州に移動の祭に問題が起きた。
残る切符は2枚、今から乗るチケットはポケットに入れ、
残り一枚のチケットはポシェットの中のパスポートと一緒に入れておいた・・・
はすなのだがいざ列車に乗ったら見つからない(>_<)
だいたいにして高々列車に乗るのにパスポートを見せる機会が多すぎるのだ!!
多い時には列車の待合室に入る時にも取り出して、
ホームに入る改札のところでも取り出さねばならん・・・・
というわけでどこかでパスポート出した時にくっついてぽろんとこぼれ出してしまったのだろう・・・
ないもんはしゃーない!!
帰りはもう飛行機で帰ろうとばかり安い便を探す!!
列車だと北京に着いてからまた2時間ぐらいかかるが、
うちの院子は空港の近くなので飛行機だと着いて1時間かからない。
しかし張嶺がこう言う・・・
「簡単じゃね?杭州着いたら窓口で"失くしたからまた印字してくれ"で済むんじゃね?」
うーむ・・・
確かに中国のチケットにはパスポートナンバーも名前も印字されていて、
他の人が拾ったところで使うことも出来ないのだから、システムとしたらそのまま印字し直してもらえばそれで済むような気もする・・・
杭州に着いて迎えに来たライブハウスの人もみんなも待たせたままひとりで窓口に行って並ぶ・・・
最初に行った窓口ではつっけんどんに「1番窓口に行け」と突っ返されたが、
1番窓口では丁寧に説明されてこんな説明書までもらった。
まあ要するに同じ便の同じチケットをまた新しく買って、
列車に乗って列車長とやらに何やら証明書を発行してもらい、
それを持って24時間以内に払い戻し窓口に行けば払い戻してくれるらしい・・・
ワシ・・・もう飛行機で帰りたいし、
失くしたチケットそのままキャンセルしてくれたらそれでいいんですけど・・・
「その手続きはチケットを発券した窓口でしか出来ません」
・・・ということは、
飛行機で帰って家に着いても、
その払い戻しのためにまたわざわざ北京西駅まで往復せねばならんのか・・・
「列車で帰ります(涙)」
というわけで、ライブ終わって3時まで打ち上げして、5時に起きて何とか杭州駅まで遅れずに辿り着いた。
念のために会う職員会う職員、安全検査の職員や、改札の職員や、列車に乗る時の車掌さんやら全員にその説明書を見せてどうしたらいいのか聞く。
やはり取り敢えずは乗って座って、列車長とやらに会って・・・
・・・ってどうやって会うんじゃい!!どこにおるんじゃい!!(怒)
まあ列車が発車してドアが閉まったら列車じゅう探し回れば会えるじゃろう、
問題は睡眠不足で二日酔い(まだ酔ってる)状態で、
気が付いたら爆睡しててこのまま6時間列車長とやらに会えずに北京に着いて放り出されてしまうことである・・・
寝たらいかん・・・寝たらいかん・・・
眠気まなこを擦っていたら車掌さんがスマホを持って回って来た。
若くてむっちゃ可愛い女の子である。
スマホの画面にはワシのチケット情報が表示されていて、
そのワシの座席目指して来たようだ。
「あのう・・・この方ですか?」
SUEYOSHI SATORUなどの日本名が表示されても中国人にはなかなかすっと読めるものではない。
恐る恐るそのスマホの画面をワシに見せて聞いて来る。
「そうです。証明書発行の件ですよね」
ワシがそう答えると彼女は可愛い顔をもっと可愛くくしゃっとさせて
「わー、よかった〜中国語が喋れるのね、外国人だからどうしようかと思って・・・」
もうね、か・わ・い・い・のだ〜(涙)
「列車長は9号車にいますので北京に着く直前、
そうですねぇ・・・13時着だから12時50分に9号車に行って列車長を訪ねて下さい」
ところがねぇ、隣のおっさんがワシが外国人だとわかるとワシの全ての行動を珍しそうに覗き込んで来るので鬱陶しい(>_<)
パソコンを取り出せば「おう、日本語だ!!どうやって打つんだ?」
車内販売を頼めば「お、外国人なのに中国語喋ってるぜ」
あのね、や・か・ま・し!!!!
そんなこんなで6時間、爆睡も交えて時が過ぎてゆくと、
またさっきの可愛い子ちゃんがやって来てこう言う。
「9号者には来なくていいです。列車長がここに来ますのでこの席で待っていて下さい」
また爆睡・・・もうすぐ北京に着くぞという頃に、
列車長ではなくまたこの可愛い子ちゃんがやって来た。
「私が貴方を連れて行きますのでこのまま降りたら私に着いて来て下さい」
もうね、全中国じゅうの職員という職員にこんなに優しくしてもらったことはこの26年間
の中国生活で一度もなかったので(いやこれホンマ)、
もうヘタしたらこの子に惚れてしまいそうである(涙)
駅に着いたら彼女はホームに突っ立ってるおっさんとこにワシを連れて行った。
言われた通りパスポートと切符を見せて、彼女が書いたのであろう手書きの書類にこのおっさんのサインをもらってハイおしまい・・・
これだけ?手書き?・・・
このまま可愛い子ちゃんはほっとしてまた飛びっきりの笑顔で帰って行ってしまい、ワシはおっさんとふたりで取り残されてしまう。
「出站口(ChuZhanKou):出口の意味」
と言って犬を追い払うような手振りをする。
中国やなぁ・・・(涙)
「出站口行ってワシはそれからどうしたらいいの?」
そうワシはおっさんに聞くのだが、
「出站口行ってそこにいる人に聞け!!」
しっしっしっ
もうね、これが中国、This is Chinaよ(涙)
出口から何からまた会う職員会う職員に聞いて回る羽目になる・・・
しかし出口に着いて初めて気付いたのだが、
これはワシが乗った北京西駅ではない。
着いたのは北京南駅ではないか!!!
まあ日本で例えて言うと、新幹線上野駅がまだ開通してなかった頃に、
大宮駅から出発してツアーして、着いたら東京駅だったみたいな話である。
例えばこれがまた窓口で
「発券した駅じゃないと払い戻し出来ん!!しっしっしっ」
などと言われてしまったら、
まあ例えて言うと、東京駅にやっと着いたのに大宮駅まで行って払戻せと言われて羽田近くの家に帰るみたいなもんである。
確か窓口には「払い戻しは発券した駅で支払った方法への払い戻しとなります」と書いてあったような・・・
このチケットを買ったのは張嶺のマネージャーで、
きっとネットで支払ってるからそこに払い戻しとなるのかも知れないが、
まあそれでも北京西駅まで行くよりは全然マシである。
払い戻し窓口で待つ!!・・・
順番が来る・・・
書類とパスポートと切符を出す・・・
緊張・・・
「手数料がかかりますがいいですか?」
おっ!!出来るのか!!手数料などなんぼでも払ってやる!!
って「じゃあ払い戻ししません」などという客がいるのか?!!(笑)
払戻し金は現金で来た・・・
ということはきっと失くしたチケットを払い戻したのではなく、
新しく買ったチケットを払い戻したのであって、
「その失くしたチケットの列車にちゃんと乗ってましたよ」
という証明書で、乗って着いた北京南駅で払戻せたのだ・・・
よかったよかった・・・もうね、モノは失くしません!!
いやホント、もう今度からチケット入れる場所考えます!!
まあパスポート失くすよりはマシやけど・・・
(関連記事:中国でパスポートを亡くすとこうなる・・・)
その1
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その3
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