
2016年3月19日
Big John張嶺(Zhang Ling)中国華南地方プチツアー
老炮儿(LaoPaoer)という言葉を最近よく耳にする。
映画のタイトルにもなってちょっとした流行り言葉なのだろう。
「どういう意味なの?」
と中国人に聞くとみんな
「Funkyさんみたいな人のことをいうんだよ」
と笑う。
よくわからないのだが、
「高い経験値や技術などで若い人の度肝を抜くような高年齢の人」
みたいな感じらしい・・・
まあ言ってみれば「すんげージジイ」みたいなニュアンスだろうか(笑)
「Big John張嶺和老炮儿们」(張嶺とすんげージジイ達)と銘打って行われた1月の北京ライブは大好評だったらしく、
「ツアーやろうぜ!!」ということで2週間前に突然ツアーが組まれた(驚)
ツアータイトルは「老炮儿来袭(すんげージジイの来襲)」(笑)
ツアーのくせにブッキングが突然なのよねぇ・・・
ワシは月末の山東省のツアーはドタキャンになったこの仕事が入ってて参加することは出来ない。
誰か他のドラマーをブッキングしているようだ。
今回の華南地方も元々は3月18日の上海が決まってたようで、
そこからどこか繋げたいということなので先日よくしてくれた蘇州のライブハウスを紹介した。
ところが1週間前だというのにいきなり決定になって、
しかも2ステージ入れ替え制というのにはびっくり!(◎_◎;)
思うに「ギャラ制」なのだろう。 だからオーナーとしては何とか元を取るために2部制にした、と・・・
これも「有名人」だから出来る技やなぁ・・・
前回の北京お披露目ライブではゲストがいっぱい出て大所帯のバンドになってたけれども、この基本メンバー4人でのライブは初めて!!
4リズムの基本リズムでベースがボーカルといういい感じのバンド。
しかもボーカルの張嶺(ZhangLing)はその昔は、
「最近のヒット曲の全てはドラムはFunkyさんでベースは張嶺(ZhangLing)さんだよね」
と言われてたほどワシと共に一番売れっ子スタジオミュージシャンとして活躍してた。
その後彼はJazzクラブに籠ってリアルブックの全ての曲を暗譜で弾けるように修行。
もうJazzからロックから何でもOKのスーパーベーシストでもある。
ベースを弾きながら歌うので歌ってる時にはベースは簡略化するが、
ソロ回しになると昔のJazzセッションのような楽しさが思い出されて来て非常に楽しい。
さすが老炮儿(LaoPaoer)すんげージジイ(笑)
これは密かに楽しいバンドかも知れないぞとほくそ笑むワシ・・・
さて「ツアー」と言えば楽しみは現地現地での暴飲暴食であるが、
そのライブハウスの周りにはそんなに夜中まで開いてる店がなく、
「じゃあ明日に備えて今日は寝ますか」
となってる矢先、キーボードの張張(ZhangZhang)が、
「蘇州の日本人街とやらに行ってみたい」
と言い出した。
ちょうど地元の日本人の友人チャッピーさんが見に来てくれてたのでメンバー全員で連れてってもらった。
蘇州は日本人は1万人ほどしかいないと言うが、
そのほとんどがこの新区と呼ばれるところに密集して暮らしている。
北京や上海では日本人の数はもっと多いが、
広い街の中に点在しているのでそんなに目立たないのに対して、
ここ蘇州の新区はほとんどの日本人がここに密集しているので、
言うならばここは中国で一番日本人の密度が高い場所である。
ひとつのストリートはそのほとんどが日本料理屋、
もしくは日本人相手のスナックやマッサージ、
さしずめここは「リトルトーキョー」みたいになっている。
いつもチャッピーさん含めたおっさん共と行く店は時間的に無理ということでとある焼き鳥屋に連れて来てもらったのだが・・・
見ればおっさんの日本人客に全て若い女の子がついている!(◎_◎;)
聞けばこの店は日本人スナックなどで同伴で女の子を連れ出すのによく使われる店らしい・・・
最近「モテ期」だというチャッピーさん、
さっそくその女の子のひとりに声をかけられる。
「おうっ!!こっち来て一緒に飲もうぜ!!」
会話はもう日本語である。
「チョットオ客サン送ッタラマタ戻ッテ来ルネ、待ッテテネダーリン」
!(◎_◎;)
そしてふたりの女の子が戻って来て一緒に飲み始める・・・
しかも日本語で(笑)
またその女の子達は有名中国人である張嶺(ZhangLing)などには全く興味を示さない!(◎_◎;)
それどころかワシを見つけると
「アアコノ人有名人ネ」
とばかり二人とも一緒に写真を撮りたがる!(◎_◎;)
そりゃそうだ。
彼女達にしてみたら日本人客の誰も知らない張嶺(ZhangLing)なんかと写真を撮ったところでそれを「商売」には使えない。
ワシとの写真ならどの日本人客にでも会話の糸口ぐらいにはなるからであろう・・・
自分が女の子達から全く相手にされずに、
ワシだけが女の子にモテまくってると思った張嶺(ZhangLing)、
意地悪そうな笑みを浮かべてこんなことを言う・・・
「俺はもう20年近くFunkyさんと付き合って来たけど、
今日初めてFunkyさんの新しい一面を見たよ。
だからいつもこんなに頻繁に蘇州に来るんだな・・・ニヤリ」
おーい!!!勘違いするな!!
蘇州はおっさんばかり!!おっさんしかいないの〜!!!(涙)
というわけでここのバンドメンバー分は全部ワシが奢らされました(涙)
さて旅は続く・・・
蘇州から上海までは新幹線で30分ほど。
迎えの車に乗せられて連れて来られたのはオシャレなブルースバー・・・
この日は張張(ZhangZhang)が来られないということでアメリカ人のギタリストがブッキングされていた。
いや上海って実は彼みたいに全く中国語を話せないミュージシャンが結構仕事してるのよね・・・(驚)
張嶺(ZhangLing)は留学経験があるし、
ギタリストのロビンはニュージーランド国籍なので英語はバリバリなので、その瞬間からバンド内言語が全部英語になってしまう(>_<)
ワシね・・・英語ダメなの(涙)
英語で喋ってるつもりでいても気付かないうちに一部が中国語になってたり、
今度は中国語に戻った時にもう何語かわからんようになってたり(>_<)
もうね・・・本番終わるまでそのアメリカ人ギタリストと全く喋らんかったし・・・(涙)
でもねぇ・・・言語って大切やなと思ったのは実はコミュニケーションの問題だけではない!!
こんなことがあった・・・
実は張嶺(ZhangLing)の曲で「如果布鲁斯是生活」という曲がある。
日本語で言うと「もしもブルースが生活だったら」という意味である。
歌としては次に「那生活是简单的」と続く・・・
つまり「じゃあ生活って簡単じゃん」という感じだろうか・・・
ところが英語で言うと全く意味が違っていた!!!(◎_◎;)
「If Life was the Blues」・・・
つまりこの曲は「is」ではなく「was」だったのだ!!!!(◎_◎;)
中国語も日本語もあまり「時制」に厳しくないからわからなかったが、
この「is」が「was」になっただけでニュアンスが全然違って来る!!
つまり「ブルースは生活ではなかった」のだ・・・(涙)
だからそれに続く「那生活是简单的」は結果的に「だから生活は簡単ではなかった」ということになる(驚)
8ビートのマイナーブルースの曲なのだが、
この簡単な中国語の歌詞ならワシの中国語力でもすぐに歌詞が飛び込んで来て、
インプロビゼーションも多く「楽しい曲」のように感じていたワシは、
この瞬間にニュアンスが全く違って入って来た。
奴隷として連れて来られた黒人は、
悲しい境遇を歌に込め、楽しく歌うことによって生きて来たという・・・
ブルースはとてつもなく悲しい音楽で、
そしてとてつもなく楽しい音楽だというのはここに根本がある!!
もしワシが全く英語を理解出来ない人間だったとしたら、
この根本的な「詞の深さ」さえもわからなかったかも知れない・・・
言語は大切やなぁ・・・
5月にはこのメンバーでアメリカツアーをしようということでスケジュールを押さえられている。
ワシは中国語が全く理解出来なかったらこれほど中国人のメンタリティーはわからなかっただろうというのと同じように、
コミュニケーションの問題も含め、もっと英語が理解出来ればアメリカから来たこの音楽のもっと深い部分が理解出来るかも知れんからなぁ・・・
4月にはWINGの世界ツアーでオーストラリアとマレーシアが入っているし・・・
これを機会にもうちょっと英語勉強しようかな・・・