
2015年11月18日
映画音楽・・・怒ったらあかん!!(>_<)
日本でツアーを廻りながら、実は映画音楽制作は続いている・・・!(◎_◎;)
もうね・・・もの凄い!!(涙)
いやね・・・語るに語り尽くせん!!(泣)
日本へ向かう前に起こった大事件がこれ!!
もうね・・・歌う人替えてレコーディングし直すなんて無理!!(>_<)
元々は制作側が自分とこ所属の女優さんに歌を歌わせようとするからこんなことになるのだ・・・
その歌が上手くないからと言ってこれはもうこちら側の責任でも何でもない!!
LaoLuanが必死で説得に回る・・・
そもそもがどうしてその女優さんに歌わせたいのか、
それは万が一その曲が大ヒットしたらその女優さんはそれを引っさげて全中国を営業で莫大な金を稼ぐことが出来るから・・・
この国では儲かるのは「歌手」なのだ、
自分とこ所属の女優が「売れっ子歌手」に化けてくれたら会社としてもこんないいことはない・・・
それにしても
LaoLuanの説得は全くもってツボを突いている。
「別の歌手が歌ったらその利権は会社には落ちませんよ、その歌った人が持って行ってしまうじゃありませんか」
制作側もそんなことは重々承知である。
「だから別の歌手に歌ってもらって名義はうちの女優にするの!!」
そんなこと許されるわけはない!!・・・誰しもそう思うだろうがこの国ではそれも可能なのだろう・・・
そこでのLaoLuanの説得も非常に的を得ている。
「声が違う人が歌ってたらそれ持って営業に行けないじゃん!!ここは何が何でも本人の"声"じゃなくっちゃダメだろ?」
「じゃあその仮歌の声を大きくしてうちの女優の声に被せて!!」
そう言えばX.Y.Z.→Aが初めてアメリカでレコーディングした時にテレビで見た映画でそんな話があった。
歌の下手な歌手のミックスで、プロデューサーが
「本チャンの声を下げて仮歌をもっと上げろ!!」
と同じように指示する。
最後にはミキサーがこう泣きを入れるのだ。
「プロデューサー、もう仮歌しか出てません!!(涙)」
映画のそのシーンを思い出して苦笑いする。
二井原なんかが爆笑しながら通訳してくれたそのシーン・・・
現実にそうなったら現場では誰も笑いやしない(>_<)
みんな頭を抱えてしまうだけなのである・・・
エンジニアの方言(FangYan)は泣きながら仮歌をエディットして本チャンの歌と全く同じタイミングで被せてゆく・・・
「これ以上無理です!!(涙)」
となったテイクを制作側に送りつけてワシは日本に発った。
それからずーっと日本でツアーを廻ってたが返事が来ない・・・
「どうなったのかなぁ・・・」
などと心配してたら、実はそんなことが吹っ飛ぶぐらいの大問題が勃発していたのだ!(◎_◎;)
岡崎でのライブ会場でそのメールを受け取った。
「Funkyさん、ちょっと見て下さい!!オープニングの映像編集が終わったんだけど、何となく音楽と合ってない気がするの・・・」
オープニングテーマはこの時に既にOKが出ている。
しかし映像はワシが見た感じでも確かに合っているとは言い難い・・・
そりゃそうだ、監督の要望はこの最初の時点から「緊張感があって、インストで、年寄りが聞いても楽しめる、オシャレでPOPな、Clubミュージックサウンド」
という要求である。
ワシはてっきり007みたいな映像を考えているのかと思ったら、
戦争映画よろしく1分42秒ずーっと戦闘シーンなのである(>_<)
そもそもが「Clubミュージック」などこの映像に合うわけはないのだ(涙)
落胆してても仕方がない、今から全部作り直すのは無理だ、
頭をフル回転で働かせる・・・
そこで思い出したのがこの曲!!
仮タイトルが「Theme Of The War」つまり「戦争のテーマ」
戦闘シーンには持って来いではないか!!!!
送られて来た映像ファイルは非常に大きく、
日本でダウンロードすると2時間はかかってしまうのだが、
幸いiPhoneのプレビューで見るとすぐに見ることが出来る。
「この映像にはこの曲が合うよ」
というプレゼンには映像にその音楽を貼り付けて送りつけるのが一番説得力がある。
ワシはまずそのプレビューを別のiPhoneで撮影して、
その映像にこの音楽を貼り付けてとりあえずLaoLuanと方言(FangYan)にだけ送り付けておく。
まずはこのDEMOで大体の形を見せておいて相談して、
いざ制作側に送りつける時には2時間かけてDLしたその映像にこの音を貼り付ければよい。
むっちゃ仕事が早い!!
ライブ会場でのリハ前に受け取ったメールの解決策は、
リハが終わって本番前にはちゃんと送られているのだから・・・
LaoLuanはもう困り果てていて、
「Funky、いつ北京に戻って来る?一緒に会いに行って制作側と話し合おう」
とメッセージを送って来たそれとほぼ同時にこのDEMOを受け取り、
「これは凄いわ、映像にぴったりじゃないか・・・」
と舌を巻く。
この音を映像に合わせてみた時に
「ワシは天才かっ!!」
とつい自画自賛してみたが、実はこれは非常に「運」がよかっただけの話なのだ。
何せもともと戦闘シーンをイメージして作った曲の上に、
5拍子のリズムなのでClubミュージックよりもアクセントの位置が多く、
乱暴にシーンをつないだ映像でもどこかのアタックにあってたりするのだ。
そしてライブ終了後にはDLした映像に音を貼り付けて、
それを制作側に送り付ける時間を相談・・・
・・・というのは実はこんな出来事があったからである。
先週ひょんなことから中国の映画音楽家のヨウヨウさんが北京のうちのスタジオにやって来た。
その時にワシらが今やっている映画音楽制作の話を笑い話として彼に話してたら「3つの大事なアドバイス」をくれた。
1、金を受け取らなければ仕事は開始しない
2、誰の言うことを聞くのかひとり決めてその人以外の意見は聞かない
3、仕事は早くやり過ぎない
彼はこの条項を必ず契約書に入れ込んでから仕事を始めるのだと言うが、
1はまあLaoLuanが間に入っているのだからうちには関係ない。
2はうちの場合主導権が監督から制作側に移ったような感じで振り回されているのだから確かに大事な項目である。
(彼曰く、現在のうちの状態なんかまだマシな方で、金を出したスポンサーなんかが口を出して来たらもうやってられないそうだ)
3は実はうちにとっては大きなアドバイスだった。
何せワシの「仕事」は中国人にとったら驚異的に「早い」のである。
毎回毎回LaoLuanが「Funky、全くお前は凄いよ」と言うのに気を良くしてどんどん仕事が早くなってゆく・・・
これが危ないのだそうだ。
「そしたら発注側は自分の要求はこんなに簡単なのかと思ってどんどん無茶な要求を出して来るようになっちゃうだろ」
だから今回は送り付けるまでにわざと時間を置いた。
ワシとてスーパーマンではない。
これはたまたま偶然「合った」だけで数時間で出来上がったが、
「ああ簡単なことなのね」とか思われてまた無茶な要求を振られたのでは本当に困ってしまう。
ワシはタダの「音楽家」であって「魔法使い」でも何でもないのだ(>_<)
さて翌日たっぷりと時間を空けて音楽を貼り付けた映像を送り付けた。
反応はすこぶるよい。
「個人的な感想としてはとてもいいと思うわ」
いつも会社の意見なのか自分の意見なのか文句ばかり言う連絡係の女の子が珍しくそんなことを言う。
送り付けたのはDEMOの音源をエディットしたものなので、
ワシはもう既に方言(FangYan)に
「本チャンのテイクをこのようにエディットして最終形を作れ」
と指示してある。
ところがここに来てまた意外なダメ出し(>_<)
「映像編集者からこの曲は平坦だからオープニングに相応しくないとダメが出ました」
・・・って突然出て来たその映像編集者って誰?!!!(◎_◎;)
結局は最初のオープニングで「1分10秒から変えてくれ」ということになったが、この部分・・・何度変えたら気が済むの?(涙)
変えろと言われて作り直して既にOKが出たんとちゃうの・・・(号泣)
LaoLuanがここで「待ち」を入れて数日、
結局はこのような原因でぐちゃぐちゃになってしまったようだ・・・
日本ではわからんが、中国ではこのような長いテレビドラマの場合、
「音楽を作る人間」の他に「作った音楽を貼り付ける人間」を雇う。
ここからはワシの想像だが、ワシらなんかが雇うその業者なんかと違って、
きっとこの会社が丸投げした会社は有名で地位の高い会社だったのだろう、
その「とっても偉い」映像編集者とやらが、
「こんなんじゃ貼り付けられねーよ〜音楽作り直させろ」
とでも言ったのだろう。
もうこうなるとLaoLuanの仕事である。
「いい加減にしろ」とでも会社にクレームを入れてるのだろう、
待つこと1週間余、返事が来たのはツアー最終日前の岡山のことだった。
「Funkyさん、新しいオープニング映像が出来上がったんで見てみて下さい」
メッセージと共にまた大きな映像が送られて来る。
2時間かけてまたDLして見てみる・・・
「えーと・・・これ・・・音が何も入ってませんよね・・・」
恐る恐るそう返信する。
「そうよ、映像だけを送ったからそれに音楽つけてちょうだい」
!(◎_◎;);
・・・音楽に合わせて映像を作るんじゃなかったのか・・・
もう被害者意識が植え付けられてしまっているのだろうか、
実はこのやり取りは単なるミスコミュニケーションだった。
どうやら
「11月8日にあなたが送って来た音楽をつけてちょうだい」
ということらしい。
11月8日に送ったのは「Theme Of The War」のDEMOだったので、
その本チャンを編集して送ればいいのだなと判断、
さっそく方言(FangYan)に指示して編集させる。
「これが終わったら仕事納めやから頑張れ!!」
目先にニンジンをぶら下げるのも忘れない。
思えば新しく勃発したオープニングテーマの問題で、
エンディングテーマの問題がすっかり忘れ去られている。
このままうやむやになってしまえば本当に「仕事納め」なのである\(^o^)/
方言(FangYan)は頑張った!!
一度は直しを入れたが、最終的に出来上がった新バージョンは素晴らしいミックスだった。
映像に貼り付けてみる。
さすがにDEMOに合わせて編集しているだけあって、タイミング等もばっちしである。
自信満々で制作側に送り付ける。
すぐさま返事が来た。
「この曲じゃないわよ!!11月8日にあなたが送って来た曲よ!!」
!(◎_◎;)
「11月8日に送った曲ってこれですけど・・・」
「違うわよ、イントロが全然違うじゃない!!」
しばらくしてまたメッセージが届く。
「あ、この曲でした・・・」
一同胸を撫で下ろす。
ああもうこれで仕事納めなんだなとみんなが安堵したその瞬間、
また新たなメッセージが届く。
「40秒辺りから盛り上がりに欠けるわよね〜直して!!」
!(◎_◎;)
完成形を送り付けてるんだからもう直せないんですけど・・・(涙)
ここで方言(FangYan)とLaoLuanが激怒する。
「ヤツら全く何もわかっちゃいない」
「無茶苦茶ですよ全く」
「クソッタレ!!」
など3人だけのグループチャットで罵声が届いて来る。
「まあまあまあ」
とりあえずなだめて制作側にメッセージを送った。
「じゃあ40秒から何か別の楽器を被せます」
これにはさすがに方言(FangYan)も
「Funkyさんは本当に優しい人ですねぇ・・・」
と感嘆するが、このワシが「優しい」なんてわけはない。
ケンカしたって仕事は終わらない、
ワシはちゃんと仕事が納められさえすればそれでいいのだ。
「楽曲と構成はOKなんですね?」
とちゃんと確認のメッセージを送ってある。
要は楽曲がOKで構成も直す必要ないなら何かダビングするだけで仕事納めなのである。
はてさて更に何をダビングしよう・・・
ストリングスとホルンはもう使ってあるし、
ディストーションギターも既に使っている。
あとは管楽器ぐらいだが対旋律によってメロディーの合間は既に何かの楽器が埋めてしまってある・・・
うーむ・・・とりあえずコーラスでもダビングして分厚くしてみるか・・・
昔だと軍隊のコーラスでも呼んで生で録音出来たのだが、
今はギャラも高くなってそうもいかないので取り敢えず打ち込みで頑張ってみるか・・・←イマココ
Posted by ファンキー末吉 at:09:36 | 固定リンク
2015年11月 1日
全中国ひとりドラムツアー2015年 江蘇省「南通市」
南通には2回目。前回はひとりドラム亜洲巡演でライブハウス「無二」というところで演奏した。
何とここのパール倶楽部の王老師はそのライブを見に来ていたらしい・・・!(◎_◎;)
「縁」は中国でも最も大切にされるものだけど、
これだけいろんなところに行ってたらその数だけ「縁」があるのだからありがたい事である・・・
空港から会場に直行してセッティング!!
今回の会場はなかなか荘厳な感じのホールである。
それが満席!(◎_◎;)
オープニングは4人の子供ドラマーで演奏するメタリカのEnter Sandman!(◎_◎;)
いや〜オープニングにメタリカをやる事はよくあったけど、
今回は運よくVPNの調子が良かったので動画をアップしました〜
南通パール倶楽部イベントのオープニングは4人の子供たちによるメタリカのエンターサンドマン!!(笑)
Posted by 末吉覚 on 2015年10月31日
いや〜中国は本当に変わったなぁ〜・・・
30年前ならこんなことは絶対に出来なかった・・・シミジミ・・・
もっとシミジミしたのはこの曲!!
小さい子供がBEYONDの光輝歳月を叩くのを見るとウルウル来てしまいます。黄家駒が残した世界平和の歌がこんな小さい子供にも歌い継がれてゆくことを・・・
Posted by 末吉覚 on 2015年10月31日
BEYONDの光輝歳月!!
黄家駒が残した名曲のひとつで、この歌詞が泣けるのよね〜
特にBメロの歌詞、
黒い皮膚が彼に与えた物は
膚の色のための闘いに 一生を捧げることだった
虹色のきらめきがあれほどまでに美しいのは
色と色の間に何の区別もないから
など、もう中国人なら知らない人はいないほどの素晴らしいメッセージソングです!!
黄家駒がこの世に残したメッセージをこんな小さな子供が受け継いでゆくのかと思うとちょっとウルウルしたぞよ・・・
そして更には黒豹のこの曲!!
今度は黒豹だ!!!ここの先生はよほどのロック好きだと見える・・・あの時代に「这是新的中国!!(これが新しい中国か!!)」と歌ったこのおじさん達の気持ちが、あと10年経ったらこの子にもわかるようになるかも知れない。それがロックの入り口
Posted by 末吉覚 on 2015年10月31日
いや〜懐かしいなぁ・・・原曲はこちら!!
25年ほど前に初めてこの曲を聞いた時に、サビの
「这是新的中国!!(これが新しい中国か!!)」
という部分を聞いて
「こんなこと歌っていいのか・・・」
と強くショックを受けた記憶がある。
今では商業主義の権化のような黒豹だけど、ロックバンドとしての強い楽曲のひとつである。
中国ロックの創始者「崔健(CuiJian)」のように中国共産党に迫害されながら茨の道歩んで「ロック」をやるか、はたまた「俺たちは政治とは関係ない」と言って商業路線を歩むか・・・
そんなことを悩みながらロックをやってたこのおじさん達の気持ちは、もちろんこの子達には知るよしもない。
この子が大きくなって人生に、社会に疑問を持って、そしてこの曲をもう一度叩く時があったとしたら、
その時は今と全然違うドラムが叩けるだろう・・・
それが「ロックの入り口」だとワシは思ってる・・・
そんなこともちょびっと散りばめながらMCちう〜(笑)
そんなこんなもあって今回は少々「ロック」なプレイになったと思います!!
おきまりのサイン会!!
お決まりのおもてなし!!
頼み過ぎやっつうねん!!
・・・スンマセン!!こんなに残してしまいました(>_<)
次来た時にはこれぐらい食えるよう体質改善しておきます!!(笑)
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡はこちら