
2014年7月14日
55歳の誕生日
この年になって誕生日を祝おうとかそんな気持ちは別にない・・・
もともとが「記念日」とかが苦手なのだ。
自分の誕生日も忘れて何事もなく過ぎてゆくこともよくあった。
今年は7月13日が日曜日ということもあって、
52歳の時にやったように北京でマラソンライブなどでもやって、
次の日に日本に帰って55本連続ライブツアーでもやろうと思ってたのだが、
月末には寧夏回族自治区だの青海省西寧だの布衣のツアーや、
ひとりドラムで湖北省のむっちゃ田舎に呼ばれたりもしてるので連続は無理だろうということで連続ライブはやめた。
新しいファンキースタジオの工事もあるし、
まあ工事や引っ越しの片付けなどしながら夜はいつものように飲めばいい・・・
ぐらいに思っていたら、11日のライブの打ち上げの時に、
「えー!!ファンキーさん誕生日なの?じゃあ何かパーティーでもしないと!!」
ということになった。
布衣のスタッフから電話があって、
「19時半から两个好朋友を押さえたからね」
と言うので、
「こりゃ楽器持ち来んでセッションでもするのかな」
と思ったら単なる飲み会だった(笑)
このライブハウスのオーナーも元々はワシらの院子出身なので、
「ファンキーさんの誕生日なら自由に使って〜」
ということなのだろう。
山ほどのビールを冷やして、串焼きを焼きながら、
別に何をするわけでもなくだらだらと飲む・・・
それだけである。
ほんとにささやかなもんである。
同じ誕生日である元黒豹のボーカル秦勇(QingYong)も誘ったが、
あいにく最近売れっ子になって北京にいないとか・・・
ワシは別に彼のように有名人なわけではないのだけど、
周りの人は同じように見るのか、
「ファンキーさんの誕生パーティーにしてはささやかですねえ」
と言う人もいるにはいた。
「ファンキーさんの誕生日だったらきっと何百人も集まっているのだろう」
とでも思ってる人も多い・・・。
「ファンキーさんのお友達は何人来ますか?」
と聞かれたが、別にこの辺の若い衆数人しか呼ばなかった。
ちゃんと告知廻してパーティーなんか開いたりしたら、
それこそワシがドラムを叩いた蒼々たる大歌手達がみんな花束など送りつけて来て大変なことになるだろう・・・
まあ突然だったし呼ばなかったのよ〜
でもそれがよかった。
若い衆は有名人など来ない方が気が楽だし、
気心が知れた連中だけでダラダラ飲むだけの誕生日もなかなか素敵だったぞよ。
実は数日前にこんな話を聞いたのだ。
この日はもう既に大仕事を終えて寧夏に帰った老呉(LaoWu)と、
キーボードの張張(ZhangZhang)、ベースの韓陽(HanYang)、ギターのBeiBeiが
「ファンキーがもう年老いてドラム叩けなくなったら俺たちみんなで養ってゆくんだからな、わかったな」
という話・・・
老呉(LaoWu)は確かにもう一緒に暮らして長いし家族のようなもんだし、
デビューアルバムもワシがプロデュースしたし、
布衣に2曲書いた曲は今でも彼らの代表曲になっている。
張張(ZahngZhang)も二十歳ぐらいの頃酒場で弾いてたのをワシが見初めて今では売れっ子ミュージシャンになっているし、
韓陽(HanYang)も最初にやったスタジオ仕事はワシの仕事だったし、
ドラマーには弟子はいないが彼ら二人が本当にワシの弟子のようなもんである。
BeiBeiはもうしょーがない。
何度も何度も「助けてくれ」と言っては今でもワシの力を借り続けている。
しかしそれにしても「みんなでファンキーの老後を養おう」という発想はいかなるもんか・・・
ちょうどパーティーには日本人エンジニアのKeizoとその妻Narumiちゃんが来てたので、
「これこそ中国人らしい発想だよねぇ・・・」
と話をしていた。
時代が変わって、
ロックが一番熱かったあの北京はもうない。
一緒に夢を語った若者はみんな成功してここにはいない。
25年もここにいれば周りにいる人間も変わって来るけれども、
ひとつだけ変わらないのはこの中国人のメンタリティー・・・
これがあるから「ああやっぱ北京はいいなぁ・・・」といつも思う。
「地縁と血縁と金しか信じない」と言われている中国人だが、
特に北京の人間は「友達のためには人をも殺す」と言われている。
敵に回したらこんなやっかいな人達はいないが、
こうしてど真ん中に飛び込んだらこんないいヤツらはいない。
「ファンキーさんの日本の周りだってきっとそうですって」
とKeizoは言う。
「そうそう、ただそれを日本人は中国人と違って口に出さないのよね」
とNarumiちゃん。
まあでもこうして口に出してくれる方が嬉しいよねぇ・・・
ただその方法論がちょっと笑えるだけで(笑)
老呉(LaoWu)の話ではその時みんな一斉に
「そうだそうだ!!そうしよう!!そうするべきだ!!」
と即答してたのに対して、いつものようにBeiBeiだけが反応が鈍かったというので、
さっそく酒の肴にヤツをイジメてみる。
「おい!!お前だけワシを養うのがイヤらしいなっ!!!」
「な、な、何言ってんですかファンキーさん・・・養うに決まってるじゃないですか・・・」
大笑いでみんなが話に首を突っ込む。
「何言ってんですか、僕だって養いますよ!!」
まあ酒の肴である。
ワシだとて本当にヤツらがワシの老後を養ってるだろうなんてことはないと思う。
しかし・・・それが起こり得るのがこの国だからこの国は素敵なのだ・・・
現に(この日は呼んでないが)こうして院子が引っ越しで金が要ると聞いたら、
メール一本でワシが中国にいなくたって100万近い金をぽんと貸してくれる仲間がいる。
そんな仲間だって出会った頃は今の彼らよりももっとペーペーだったのだ。
こんな若い衆に囲まれて、何の発展的な話もせず、
ただひたすらダラダラと飲む誕生日・・・
これはこれでとっても素敵な誕生日だったぞ!!
ありがとうな、みんな。
頑張って大きくなれよ!!