
2012年8月27日
全中国ドラムクリニックツアー2012年 貴州省「興義」
尖閣諸島問題や、それを受けてのラウドネスのイベント参加中止などにより、
リアルタイムでUPしようと思ってた貴州省ツアーのUPが大きく遅れてしまった。
カレンダーによると興義のライブは19日であるから、
逆に言えばラウドネス演奏中止で日本じゅうが大騒ぎしているその1週間前に、
ひとりの日本人ドラマーが「日本人名義」のコンサートツアーをこれだけ廻っていたということである。
二井原は「あんさんはレアーな例と思われ(笑)」とメールに書いて来たが、
この大きな中国で何が「特殊」で何が「普通」なのかを一刀両断することは難しい。
20年前、ワシは
「中国には日本人より金持ちな人が1億以上いる」
と口を酸っぱくして言い続けてたが、
日本のマスコミは中国の貧しい部分しか報道しなかった。
逆に中国が世界第二の経済大国になってからはその豊かな部分しか報道しない。
中国にはまだまだ学校に行けない子供達や、
食うモノも食えない貧民が何億人もいてまっせ・・・
国土が巨大だというのもあるが、
中国という国は日本のように画一的な国ではない。
もっと言えば中国人は日本人のように画一的ではない。
反日感情を抱いてる人もいれば、親日家もいるだろう。
中国で暮らしている日本人にとっては、
ワシのように反日感情に会ったことがない人も多いだろうが、
二井原のように日本から鳴り物入りでやって来るとまた違ったりするのかも知れない。
それも含めてどちらが「特殊」でどちらが「普通」とは言えない。
そのどちらも含めて「中国」なのであるから・・・
本文に戻ろう。
しかし日中の音楽交流の歴史の中で、
ひとりの日本人がこれだけ多くの中国の土地を
「自分名義のコンサート」で廻った例はないであろう。
そういう意味では二井原の「あんさんはレアーでっせ」というのは正しい。
特にこの「興義」という街は一二を争う「田舎」である。
田舎ほど接待が激しいというのは本当である。
前回この街に来た時には「酒を飲む専門用員」まで用意してうちの相方を完膚無きまでに酔いつぶした。
今回も連中は手ぐすね引いてワシらを待ち構えていた。
こんな田舎の街にもワシを待ってくれてる朋友がいる。
これがワシにとって一番「幸せ」なことである。
普通の日本人は「朋友」のいない場所に「仕事」として行く。
ワシは必ず相方の「朋友」のいる場所に行く。
レアかも知れんな・・・(笑)
今回の貴州省ツアーはとにかく移動が大変だった。
貴陽から北に列車で4時間半移動して乗り打ち、
そこから同じだけかけて貴陽まで戻りつつ、
それを通過して東へ数時間移動して乗り打ち。
そこからまた数時間西へ移動して貴陽に戻り、
今度は西南に向けてこの倍の距離を移動する。
この地図の左下の枠外まで更に同じ距離移動するのである。
(も少し行くと雲南省)
さすがにこの日は飛行機で移動したがもうヘトヘトである。
しかし「飲み要員」は容赦しない。
メシのあとはみんなでカラオケを歌いに行く。
ホテルの門に
「世界的ドラマーFunky末吉がうちのホテルに泊まります」
というのと同じようにカラオケ屋にも同じ垂れ幕がある。
街を挙げての歓待なのね・・・(怖)
翌日は早く起きて街を散歩した。
数年前の素朴な街並みとは違って、
高層ビルが立ち並び、街が大きく発展している。
ワシ個人としては昔の田舎町の方が好きだったのだが、
ここに住んでる人はいちがいにそうは言えないのだろう。
ちょっと複雑な心境である。
会場に着いてドラムをセッティング。
今回もタム二つを左側に置いたセッティングだが、
フロアタムがふたつあるのでより多様なフレーズが叩ける。
しかしワシ、身体が硬いので二つ目のタムまでなかなか身体が回らんのよね・・・
(借金で首は回らんが・・・)
本番が始まる。
司会者が客を煽る!!
「さあみんな立ち上がるのよ!!」
余計なお世話である!!(笑)
後ろの観客も全員立ち上がって前方に押し寄せる。
前回もそうだったが、
こんな変拍子だらけの曲で首振ろうったって「無理」なのである。
急遽曲を変更!!
X.Y.Z.→Aの「Spreading of fire」
これなら首振れるじゃろ!!
一週間後のラウドネスでは歌うことが出来なかったが、
二井原の歌声はちゃんとこの貴州省の田舎町には響いておる!!
中国の、特に田舎町に行くほどロックを愛する人民が多い。
特にこの街の人は本当にロックが好きである。
ここのパール倶楽部の先生は、ドラマーでもあり、ギタリストでもある。
(これが結構ギターも上手い)
娘はドラムを叩いていて、
親父自らギターで娘とセッションする。
しかもゴリゴリのメタルである(笑)
娘も自分のバンドを組んで中国ロックの創始者「崔健(Cui Jian)の歌を歌う。
お前、この頃まだ生まれてなかったじゃろ!!(笑)
こうやってロックは親から子供へ、
大人から次の世代へと語り継がれてゆくのじゃ!!
興義いいとこ!!またきっと来るぜよ!!
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)