
2008年9月22日
全中国ドラムクリニックツアー番外編:杭州パール中国工場
「全中国を廻っているので、当然ながらこの辺にも来るだろう」
とパール工場の日本人スタッフは手ぐすね引いて待っていたと言う。
私としても
「是非とも工場で全工員の前でドラムをぶっ叩きたい」
とパール本社には申し出ていた。
まだパール本社に工場があった頃、
我々モニター達は「パール詣」と称してしょっちゅう工場に遊びに行き、
工場を見学し、新製品をテストしたりもらって帰ったりしていた。
千葉の町工場から出発したパール楽器は、
今では世界の大ブランドまでに成長し、
工場も台湾、そして最近ここ中国の杭州にも作り、
今では日本の工場はなくなってしまった。
工場の担当者はいつも自信たっぷりに自社製品を自慢していた。
パールとワシとのルーツはここにある。
だからワシは是非この中国工場でドラムを叩いて、
「お前らの作っているのはこの音なんだ」
ということを声を大にして言いたい。
あれも言おう、これも言おうと考えながら夜汽車にゆられること13時間、
気持ちよく酔いつぶれているうちに杭州に着いた。
暑い・・・
もうてっきり涼しくなった北京とは全然違う。
これが「南方(NanFang)」と言うのだ・・・
外国企業を受け入れる工場地区に入ると、
そこはもう外国。
「パスポートが必要ですよ」
と日本人スタッフが冗談を飛ばす。
パール楽器杭州工場に着いてびっくりした。
広さが半端じゃないのである。
日本の工場のゆうに20倍はある。
女工さんが流れ作業で作業をしている。
「女工さん」というイメージとは程遠い、
そのまま制服を脱いでディスコに行ったらナンパしてしまいそうな
そんなかわいこちゃんばかりである。
ひと通り工場を見学した後、
「そうだ!今日のステージ衣装はこれじゃ!!」
とばかり、ここの制服に着替えさせて頂いた。
15時の休憩のベルが鳴る。
女工さん達が黄色い声を上げてドラムの周りに集まって来る。
もちろん男性の工員も多い。
みんなおしなべ非常に若い。
ドラムをぶっ叩く。
君たちが作っているのはこの「音」なんだよ。
ベルトコンベアーに運ばれて来たどんな小さな部品も、
ひとつでもいい加減に作ってたらこの「音」は出ない。
この工場から1日100セット以上のドラムが世界中に輸出される。
そしてどれもが世界の「音楽」を作ってゆく。
このVisionシリーズはね。
初めてこの工場から中国国内に流通するドラムなんだ。
君たちの作った「音」が君たちの愛する中国の「音楽」を作るんだよ。
俺は中国の音楽を愛する全ての人に代わって、
あなたたちにお礼を言いたい。
いつも最高の仕事をありがとう!!
伝わったのか伝わってないのか、
女工さん達はドラムを聞き終わって、
またにこにこしながら持ち場に帰って行った。
そのうち誰かはきっと、
自分の好きな歌手の歌を聞きながら、
今まで注意してなかったドラムの音を聞くだろう。
そうなのか、僕が、私が毎日作っていたのはこれなんだ、
と思ったりするじゃろう。
これでいいのだ!
幸せはどこにある?
幸せはここにある!
のである。
ファンキー末吉ひとりドラムツアーの軌跡(こちら)