2015/07/03
中国の代行運転システム
今のファンキースタジオ北京はかなり辺鄙なところにある。
以前の場所もかなり辺鄙なところではあったが、当時
「こんな辺鄙なところにも人が住んでるんだなぁ」
と思ってたそのもっと辺鄙なところに自分が住むことになろうとは夢にも思わなかった・・・(>_<)
まあ開発の煽りで貧乏なミュージシャン達は、
まるで生きる場所を追われる天然記念物のトキのように
(見たことないから知らんけど)
どんどんと辺鄙なところに追いやられるのよ〜
などと強がりをいいながら田舎生活を余儀なくされている・・・
まあどれぐらい田舎かと言うと、
今日出演した北京市内のど真ん中にあるライブハウスまで、
車で行けば30km、高速使って早ければ30分、まあ必ず渋滞するので1時間ってとこかな・・・
ところが電車で行くと、最寄りの地下鉄駅までバスで30分、
地下鉄を乗り継いで、着いたらまた歩いて結局2時間はかかる(>_<)
北京のライブハウスはだいたいどこも酒を奢ってくれるので(ワシにだけか?)
本来ならば2時間かけてバスと地下鉄で行くのだが、
モンゴルで飲み過ぎたし、もう今日ぐらい酒はいいじゃろということで車で行った・・・
ところが飲んでしまった・・・(経緯は省略)
まあいつものことですな。
でも中国には強い味方の「代行運転」がある!!
というわけで代行運転の話・・・
そもそも中国が飲酒運転にむっちゃくちゃ厳しくなってもう10年?・・・
何せ検問で酒量がある程度以上あったら裁判もせずに即逮捕拘留!!
ワシなんか仕事のスケジュールがあろうが帰国スケジュールがあろうがいきなり1週間とか音信不通にされちまうのよ・・・((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル・・・
てなわけでこの国にも当然の如く「代行運転」という商売が始まった!!
日本では「タクシーの料金よりちょっと高いぐらい」ぐらいが目安なのだろうが、
ここ中国ではタクシーの料金自体が安いので代行もやっぱり安い!!
八王子から新宿までタクシーで行ったらそれこそ数万円かかるかも知れないが、
ライブハウスからファンキースタジオ北京まで30km乗ってもタクシー代100元!!
まあ今円安のレートでもたかだか2000円・・・
ところがその代行のやり方が根本から変わっててびっくりしたのが今回のこのブログネタ。
まず最初にワシが代行を使ったのは数ヶ月前、
その時は一緒に飲んでた人が呼んでくれたのだが、
何と若者がひとりで折りたたみ式の自転車を乗って来たのにはびっくりした。
ご存知の通り日本では一台の車に2人の運転手が乗って来て、
ひとりが降りて飲酒した人の車を運転、
2台が並走して目的地まで行き、
それを運転した運転手はもう一台の車に乗って帰る。
その若い青年は自転車を折りたたんで車に積む・・・
「あんた・・・順義からこの自転車で帰るの?!(◎_◎;)」
「没办法(MeiBanFa:仕方ないの意)」
「!(◎_◎;)どのぐらいかかるの?・・・」
「2時間ぐらいかなぁ・・・」
そして着いたらスマフォのアプリで距離と値段清算・・・
78元!(◎_◎;)・・・安すぎる!!
今考えるとこれは何かの間違いだったのだろう・・・
タクシーより安いなんかあり得ん・・・
ワシは「釣りはいらないよ」と彼に100元渡した。
その後も何回か代行は使ったが、だいだい市内から150元ぐらい。
タクシーよりちょっと高いぐらいである。
運転手が気持ちのいい人だったら200元渡して「釣りはいらない」と言う。
その人はその金でタクシーに乗って帰って、また客を探すのだ・・・
ちなみにどうやって代行呼ぶかと言うと、「e代驾」というアプリを使う。
アプリを起動させると近くに代行運転手がどこに何人いるか地図に表示され、
即時にその全ての運転手に連絡が行き、
登録している電話番号に代行やりたい人から電話がかかって来るというスグレモノ・・・
それぞれの運転手のアイコンには顔写真とID、電話番号が振られていて、
それをクリックして見てイヤな人間なら断ることも出来る・・・
ちなみに早いもの勝ちで、
ひとりが電話が通じると後の運転手にはその旨通知されて電話がかけられなくなる。
運転手は地図で表示されたワシの場所までやって来て、
自転車を積んで運転して、
その間もそのアプリは距離計算をして値段も表示される。
もちろん会社には彼の仕事ぶりが全部データとして残るというわけだ・・・
さて昨日のライブ、うっかり(笑)飲んでしまったので代行を呼んだ。
しかし代行が乗って来たのは自転車ではなく、これ!!

何と電動機付きスケートボードである!!
ちなみに日本では電気で「自走式」の乗り物は「車両」と見なされ、
ちゃんと登録してナンバーを取得せねば道路交通法違反になるが、
中国では電池で動くのは「自転車」であり、
それがどんな形状のものであろうが届け出は一切要らないようだ・・・
走行距離は搭載している電池によって違うようだが、
20kmや30kmは平気なようだ。
電池がなくなったら漕いでも行けるし折りたたんでタクシーにも乗れる・・・
個人的にはちゃんとライトがあって道を照らせるようになってるのがツボに入った・・・
欲しい!!(日本では道路交通法違反なので乗れません)
さて今回の代行運転手、初っ端から何か態度が変だった。
携帯を貸せというので貸したらアプリを開いてどうやら自分でキャンセルしてるようだ・・・
まあ何か別のアプリで走行距離を測って値段を出すならそれはそれで・・・
と思って見ないふりをしていたのだが、
着いたらいきなり何も見ずに「260元」と言い放つ。
つまり適当に値段を言って全部懐に入れようという魂胆だ!(◎_◎;)
昔のファンキースタジオは出稼ぎ労働者の吹き溜まりにあったので、
刺青だらけのロック仲間を呼び出して取り囲んで優しく説教してやってもよかったのだが(笑)、
今のファンキースタジオはもっと田舎の昔から住んでる人たちの閑静な村なので、
ここで夜中に声を荒げるわけにもいかない。
とりあえず優しく
「いつもは150元ですよ。メーター使ってないんですか」
と言ってみる。
考えてみれば彼もたかだか会社に払うマージンをケチるためにあまりにも「無謀」な商売をしている・・・
このままロック仲間に取り囲まれて
「なんだそれは!!」
となったら一銭ももらえない可能性だってあるのだ。
彼には「出るところに出る」ということが出来ないのだから・・・
まあでもワシはもう「戦う」のはJASRACだけでいいので、
とりあえず200元だけ渡してさっさと帰ってもらった。
それを聞いたエンジニアの方言(FangYan)は
「なんで僕と老呉(LaoWu)呼ばないんですか!!」
と怒っていたが、
「お前みたいな小太りと老呉(LaoWu)みたいなロッカーなんか労務者なんかわからん人間と金髪が夜中におっさん取り囲んでワイワイやってたら、それこそ大家が怒って家賃値上げとかになっちまうだろ」
と、今にも代行運転手を追いかけてゆこうとする方言(FangYan)を止めた。
別にワシは「人間が丸くなった」わけではない。
「能率がよくなった」のである。
さっそくアプリを開いて代行会社に苦情の報告をする・・・
それを見てた方言(FangYan)、
メッセージの送信だけでは生ぬるいというわけでそこの苦情受付に電話をする。
何せこのアプリの中には彼の個人情報が全部入っているのだ。
彼がワシに電話をかけた時間、
そして自分で代行をキャンセルした時間、
それにアプリには彼が実際この近所を走っている位置情報もちゃんと載っているではないか・・・
これでもう彼は「代行運転」という仕事をすることが出来なくなっただろう・・・
たかだか100元ぐらい懐に入れようとするなら、
ニコニコ笑って誠意のある仕事をすればいいのだ。
そうしたらワシはいつも150元のところ200元払ってやってる。
同じ200元だけど気持ち良く払ういつもの200元ではなく、
まあでも口論などもせず、感情も高ぶらず、
ゲーム感覚でアプリの苦情受付のやり方を学んだ200元だったのでまあよいとしよう(笑)
ps.・・・などとこんなブログを書いている今、ユッコ嬢の中国の免許証が届いた!!
もうこれで代行を呼ぶこともなくなるだろう・・・
酒が飲めずに免許持ってるヤツ大事!!!

