2012/10/22
素敵な常連さん(1)
日本に帰ったらひたすら子守をする。
遠洋漁業の漁師の家庭のようなもんなので、
丘にいる間に会っとかなければいつ今度またいなくなるやらわからないのだ。
ワシが子守をしている間、嫁は時々店を手伝いに行く。
「キャナBar」と称して自分のイベントを開く時もあれば、
今月から5Fをライブのない日はまた通常営業することになったので、
人出が足りない時に嫁も駆り出されたりもする。
そんなある日、嫁がひとりで5Fの店番をしていた時、
一見さんのお客さんが恐る恐る店に入って来た。
黙ってカウンターに座ってウィスキーを頼み、
それを飲みながら至って無口である。
「この店にいらっしゃるのは初めてなんですか?」
恐る恐る嫁が聞いてみる。
ハードボイルド風に静かに頷く寡黙な一見さん。
酔いが回ってくる。
ハードボイルドでも酔いにはかなわない。
一見さん、少しずつボソボソと喋り出す。
「近所に住んでて実はこの店ずーっと気になってたんですけどね・・・」
だいたいこの店を気になるような人種は「ロックファン」である。
恐る恐る嫁が聞いてみる。
「音楽お好きなんですか?」
一見さん、ハードボイルドが少し崩れてちょっと恥ずかしそうに喋り出す。
「いや〜僕の好きな音楽なんて周りは誰も聞いてませんから・・・」
これはとてつもなくマニアックなバンド名が出るかも知れない・・・
嫁は更にさりげなく聞き出そうとする。
「どんなの聞いてるんですか?」
ハードボイルドな一見さん、
気がつけば気さくな中年のオジサンに変身し、恥ずかしそうにこう答える。
「ラウドネスとか・・・」
吹き出しそうになる嫁は笑いをこらえてウィスキーのお代わりを作る。
一見さん、続けて喋る。
「二井原さんが八王子に引っ越して来たと聞いて、
狂喜乱舞してたんですよね・・・僕ひとり・・・。
それで二井原さんのブログはいつもチェックして、
その流れでファンキーさんのブログもいつもチェックしてて、
この店にはいつか来ようとずーっと思ってたんですけどね・・・」
聞けばどうもこの店は非常に敷居が高いらしい。
関係者以外立ち入り禁止だと思っていたらしい。
「そんなことないんですよ。
ライブのない日は近所の常連さん達たちがいつもバカ言って飲んでますからいつでもいらして下さい」
嫁はまた一見さんにハードボイルドにウィスキーを作りながら、
「ウィスキーお好きなんですね」
と聞いてみる。
一見さん、ちょっとばつが悪そうにこう答えた。
「いや〜、ほんとはいつもビールなんですけどね、
ほら、Barとか書いてるからやっぱウィスキーでも飲まないと叱られちゃうかなと思って・・・」
一見さん、いやもう一度来て頂いてるから新しい常連さん!!
ビールがんがん飲んで下さい!!
次にいらした時には二井原の恥ずかしい写真をいっぱい用意して、
あいつがどれだけアホかを肴に一緒に飲みましょう!!
素敵な人種が集まるLive Bar X.Y.Z.→A、
あなたと話が合うロックファンにきっと出会えます(笑)

