音楽の「腕」というのは絶対的に「経験値」によると思う。
大昔の話、和佐田が「俺は譜面は苦手なんや」と言ってた頃、
一度同じスタジオの仕事に呼ばれて、
それが「鋼鉄なんちゃら」というメドレー曲で、
やたら長い勧進帳のような譜面を当日いきなり渡された。
ワシは譜面は得意だと思っていたのだが、
和佐田がすいすいと弾けるのに対してワシは全然叩けなくて泣きそうになったことがある。
気がつけば譜面を書く方になってしまい、
そのような「経験値」が絶対的に不足していたのである。
逆に和佐田は「苦手や」と言いながら
ワシが書いた譜面を呼んで弾くことも多く「経験値」が高くなっていたのでいつの間にやらワシを追い抜いていたというわけだ。
今回の「五星旗3rd」のツアーファイナルは、
ギターの岡崎猛の故郷、京都の園部という街で、
地元の吹奏楽団とジョイントで行う大「コンサート」である。
岡崎はん経由で譜面が送られて来る・・・
何と十数年振りに見たドラム譜!!!!
セッションなどは他の楽器と同じくコード譜を渡されてそれを見ながらリズムパターンは自分で考えながら叩くが、
ドラムの叩き方を音符で書き込んだ「ドラム譜」を見たのは十数年振りである。
あの時は夜総会バンドのライブの後、
その店が夜はハコバンによる演奏が入ると言うので、
そのまま残ってそのドラマーの代わりに数曲叩かせてもらったのだ。
いや〜凄かった!!
客の雰囲気を見ながらバンマスが譜面の番号を言う。
譜面台に乗っている譜面の束の中からその番号の譜面を開くとバンマスからカウントが入る。
「え〜!!!何の曲?!!!」
わからずにただひたすら譜面を読む。
ドラム譜なので大体繰り返し記号が多いのだが、
その時に助かったのはその繰り返し記号の上に「何回繰り返したか」という数字が書かれていたことだ。
人間には「4小節」という「タイム感」が自然に備わっている。
4小節に一度シンバルを叩く、
8小節で小さなオカズを叩く、
16小節で大きなオカズを叩く・・・
だいたいの曲はこのように構成されているが、
まれに1小節余りだとか1小節足らずだとか、
そんな半端な小節の時だけ注意を払い、
基本的には「今が何小節目か」という感覚は頭で数えるのではなく「身体」で感じるのである。
だから譜面も数小節先を見る。
リズムの叩き方だけ見て覚えたら、
それを叩きながら次に入るセクションの音符を先に読んでおくのだ。
そして「身体」が「ぼちぼち8小節目ですよ」と教えてくれたらそのタイミングで読み込んだフレーズを叩く。
そしてリピート記号やダルセーニョなどを読み込み、
次がどの部分に戻るのか、その先のリズムを読み込んでおく・・・
まあしかしワシの「経験値」などはたかだかその程度である。
様々なドラム譜を瞬時に読んですぐ叩ける人から比べたら全然経験値が低い。
だから今回もらったこの譜面にも様々な書き込みをしておく。
まず大事なのは「小節の区切り」がどこにあるのかということである。
4小節ごとにちゃんと太線を入れておく。
そしてセクション!!
何はなくともここはみんなで合わすところであるから目立つようにしておく。
指定されたFillとかはワシの場合読み飛ばして似た手持ちフレーズで代用したりもするが、
まれにその指定したフレーズが他のパートとセクションになっている場合もあり、
リハでそういう部分に遭遇するとちゃんとメモをしておく。
とにかく大事なのはまず初期段階で「指定されたフレーズを叩くこと」ではなく、
「構成を把握してバンドの指揮者よろしくみんなに音で指示出来ること」である。
だからとにかく全体を把握出来るように努力する。
リハでいつも間違える部分には「注マーク」を入れておく。
一度恥をかいた部分なのだからこれを入れておけば次から間違うことはない。
「ミスは恥ずかしくない!!恥ずかしいのはそれを繰り返すことだ!!」
・・・とか言いながらリハーサルをやってみたらやはりワシの読譜力が一番低かった(>_<)
他のパートの人は長年この曲を演奏しているのだから全員完璧に吹けるのであるが、
ワシだけがはみ出したり引っ込んだり、そんな部分がまだまだ多い段階でリハーサルは終了した。
そりゃそうだ、ワシひとりのために既に全部出来ている他の人をそう何度も付き合わせるわけにはいかない。
ワシは今からこのドラム譜にギターのコード譜を見てコードを書き込むことにした。
曲を聞けばそのコードが何なのかを瞬時に理解出来る能力があるので
(実はアレンジとかしてる人ならこれぐらい能力は誰でも持っている)
それをガイドにした方が全然曲の理解度が違うのだ。
あと何回も譜面を見てイメージ練習!!
譜面を渡されて何の苦労もなく叩けるのが「かっこいい」のではない。
どんな手を使っても最終的に完璧に叩けるのが「かっこいい」のだ!!
こんなブログを書いているヒマはない。
あと1時間でこれを克服しよう!!
岡崎はん、ありがとう。
この部類の経験値を上げるチャンスをくれて・・・
人生は短いが学ばねばならないことはまだまだ多い。
でも学べばもっと「楽しい」世界がそこに広がっている。
吹奏楽団とのセッション、リハの段階では非常に楽しいセッションである。
ワシさえちゃんと叩ければ・・・(笑)