五星旗のツアーを廻っている。
例によってまたスティックとツインペダルだけ持ち込んで、
ドラムセットは小屋のセットをそのままお借りしている。
ドラマーの中にも絶対に自分のセットでないと叩けないという人もいるが、
まあそれも「ドラムセット」も含めて「自分の音」なのだからうなずけるが、
ワシの場合はそんなにこだわらない性格なのと、
まあ現実的に車一台で廻るツアーではドラムセットとローディーと連れて廻るのも現実的ではないので逆にスネアやシンバルすら持ち込まない・・・
前のブログでも書いたが、
ドラムセットによってそれぞれ音が違うので叩き方も変わって来る。
毎回毎回が「ドラムセットとのセッション」なのである。
五星旗はJazz系のバンドだということで10数年ぶりにJazzの老舗「Royal Horse」にお世話になったが、
そのドラムセットとも実に10数年ぶりの「セッション」ということになる。
ここからはポエムチックな書き方になるが、ドラムセットが、
「おう、久しぶりやな。腕は上げたか?」
と話しかけて来るような感じである。
確かに10数年前はJazzは叩けるには叩けたが、
ボリュームコントロールも出来ず、Jazz的なフレーズもまだまだ少なかったので、
老舗のJazzクラブに鎮座するドラムセットにとっては少々苦痛なセッションだったかも知れない・・・
敬意をはらっていつものようにチューニングをさせて頂く。
ちなみに右側のタムだけヘッドが汚れてないということは、
このセットを使うドラマーはそれを外して3点セットで叩くJazzドラマーが多いということである。
ドラムヘッドはJazzらしくコーテッドのヘッドが張られている。
大きめの口径に厚手のコーテッドだとイアンペイスのようなサウンドになるが、
このような小さな口径に薄手のコーテッドだとモロ「Jazz」のサウンドである。
小さな口径で低い音を出そうとしても無理があるので、
そのタイコ自体が無理なく鳴るようにチューニングするとモロ「Jazz」のカランカランとした音になる。
シンバルがジルジャンで、今度はシャンシャン鳴り過ぎる(>_<)
シンバルレガートの粒が全然聞こえずにずーっとシャーンと鳴り続けてしまうのだ・・・
仕方が無いのでシンバル面ではなくカップの近くを叩くのだが、
それでも結構シャーンと鳴り続ける・・・
しばらく格闘するうちにコツがわかって来た。
八王子のLive Bar X.Y.Z.→Aに「つの犬」というドラマーがやって来てセッションをしたことがあるが、
彼がドラムソロで奇妙な技をやってたのを思い出した。
スティック同士を叩き合わせて、
その持っている手のひらの部分の空間で音を共鳴させてその音程を変えるのだ。
「どうやってんの?」
と聞いたら教えてくれた。
「クラーベみたいにスティック自体を鳴らすんだよ」
何故かとっさにそのことを思い出して、わざと軽くスティックを握ってレガートすると、
あら不思議、いろんな名盤で聞いたようなあのレガートの音が出て来る・・・
チンチキチンチキというあのレガートサウンドは、
決してシンバルだけで鳴らしているのではない。
スティック自体が鳴っている「木の音」があって初めてあのサウンドになるのだ(驚)
老舗のJazzクラブに鎮座するドラムセットが、
「お前もやっとわかったようだな」
とニヤリと笑ったような気がした。
同じように硬めに張ったコーテッドのドラムヘッド上を軽く握ったスティックを転がすようにロールで叩くとあのJazzのような「ザー」っというサウンドになる(驚)
どんなドラムセットも力ずくで鳴らして来たワシが、
初めて「Jazzとはこう叩くんだよ」というのをドラムセットから教わったようなもんである。
その日は我ながら「イカしたJazzドラマー」になったような気がして、
いい気になって次の小屋「RAG」に向かう。
ロックもJazzも演奏する小屋に相応しい、今度は口径の大きなセットである。
チューニングすると「ズドン」という重い音が出る。
同じように叩いてたら
「おいおい、何撫でるように叩いてんねん、アホか!!」
と叱られてるように全然鳴ってくれない。
いつものように力ずくで鳴らしこむと、
「よっしゃ!!それでこそロックじゃ!!」
とニヤリと笑ってくれる。
次の日の加古川「Ohana」のスネアは幅広のスナッピーが張られていた。
ヘッドもレスポンスがいいヘッドが張られていたせいか、
ちょっと叩いただけで「ザーザー」とウルサイ(>_<)
そこでまた学習するのだ。
「もっとベロシティーの差をつけなさい!!」
小さな音はもっと小さく、大きな音はもっと大きく叩くとサマになる。
それぞれのドラムセットにそれぞれの叩き方がある。
毎日がそのドラムセットとの「セッション」なのである。
力ずくで鳴らしてただけの時代には聞こえなかった「ドラムセットの言いたいこと」がやっと聞こえて来るようになった。
そのタイコの言うことをよく聞いて、
無理をせず、一緒にそのセッションを高みに昇らせてゆけばいいのだ。
そのためには当然ながらテクニックの幅広さも必要なのだが、
そのドラムセットが鳴らされて来たであろうセッションの音を想像できる、
つまりいろんなドラムの音を聞いておく必要もある。
あの時期狂ったようにJazzばかり聞いてたあの時代がなかったら、
「Royal Horse」のあの重鎮ドラムセットの言うことなど聞く耳はなかっただろう。
あの時期狂ったようにJazzクラブ通いをしていたあの時代がなかったら、
生のドラムの音が実際どうなのかなど分かるよしもなかっただろう。
そしてあの日、つの犬さんとのセッションがなかったらそのヒントさえ掴めなかっただろう。
ドラマーは部屋の中でひとり朝から晩まで練習してただけでは決して上手くならない。
「セッション」こそが命なのだ。
今日はまた違うドラムセット、
明日はまた違うドラムセットと出会う。
どんな「セッション」になるのかはその時になってみなければわからない・・・
五星旗3rdツアー宿毛
場所:宿毛NEUE(ノイエ)
対バン:JUJIRO. (and more)
開場18時開演19時
前売2500円当日3000円
住所:高知県宿毛市幸町5-6
問い合わせ:0880-63-3215
2013年09月16日(月)
五星旗3rdツアー打ち上げライブin大阪
場所:大阪RwTracks
対バン:三井ぱんと大村はん、Frame
開場19時開演19時半
前売3500円当日4000円
問い合わせ:06-6358-0005
2013年09月17日(火)
五星旗3rd京都イベント
場所:京都府南丹市園部公民館大ホール
開場:18時半 開演:19時
前売3500円当日4000円
五星旗のアルバムはこちらより購入出来ます。
(現在ファンキー末吉のJazzドラムを聞けるCDはこれのみ!!)